アルカリ性洗剤とアルミは相性が悪い?洗剤の性質を知り安全に使おう
セスキ炭酸ソーダなどをはじめとするアルカリ性洗剤の使用方法を調べると、アルミ製品には使用できないと書かれています。金属に使えないものというと酸性のものというイメージがありますが、アルカリ性洗剤とアルミの組み合わせは危険なのでしょうか。今回はアルカリ性洗剤の性質や安全な使い方を紹介します。
アルカリ性洗剤とアルミは合わせると危険
アルカリ性洗剤とアルミ缶で起きた事故
アルカリ性洗剤を所持していた男性は飲食店の従業員で、自宅で自転車のチェーンを掃除するために勤務先の業務用洗剤を持ち帰ろうとしていました。この男性は業務上過失傷害容疑で書類送検されています。
また、新宿駅で事故が起こる6年前の2012年にも東京メトロ丸ノ内線の車両内でアルミ缶が破裂する事故が起き、飛び散った液体を浴びた男女計16人が負傷したようです。
この事故のときも、缶の中に入っていたのは業務用のアルカリ性洗剤でした。
アルミとの組み合わせで起きる化学反応
しかし、金属の性質は種類によって異なります。鉄はアルカリに反応しませんが、アルミは酸とアルカリの両方に反応する「両性金属」です。
例えば、強アルカリ性の物質として代表的な「水酸化ナトリウム」の溶液にアルミを入れると、金属のアルミは溶けて「アルミン酸ナトリウム」と「水素」になります。
密閉容器の中でこの反応が起こると、発生した水素の圧力で容器が破裂するため危険です。前述のアルミ缶の破裂事故は密閉容器だったから起きたといえるでしょう。
アルミ以外にも注意が必要なものがある
また、アルカリはたんぱく質を分解する性質を持っています。そのため、動物性たんぱく質でできたウールやシルク、皮革には使用できません。
ガラスや大理石、大理石を細かく砕いで作った人造大理石にも反応します。スプレーなどで吹きつけるとシミが残ったり、表面がくすんでしまったりすることがあるので注意しましょう。
ゴムの中でも白くて半透明なシリコンゴムは、アルカリで劣化しやすいという特徴があります。ニスやワックスを塗った面や無垢の木材への使用も避けたほうがよいでしょう。
アルカリ性洗剤についての基礎知識
アルカリ性洗剤に分類されるものとは
「弱アルカリ性」の洗剤はアルカリ性洗剤の中でも比較的安全で、手軽に使用できる洗剤です。成分表示に「弱アルカリ性」と書かれた住居用洗剤のほか、重曹やセスキ炭酸ソーダなどがあてはまります。
「アルカリ性」の洗剤は弱アルカリ性の洗剤よりも洗浄力は高くなりますが、危険性も高くなり取り扱いには注意が必要です。業務用洗剤のほか、家庭用ではアルカリ電解水や塩素系のカビ取り剤や排水口洗浄剤などがあてはまります。
塩素を含んでいるアルカリ性洗剤は高い殺菌力と漂白力を持っていますが、人体に有害なので取り扱いには特に注意しましょう。
油脂やたんぱく質の汚れ落としに便利
これは、油脂とアルカリを混ぜて「けん化」という反応を起こし、石けんを作る方法です。油脂汚れにアルカリ性洗剤を使用すると、石けんを作るときと同じ「けん化」が起こります。
油脂が石けんとして洗浄力を発揮するだけではなく、石けんになることで油脂が水に溶けるようになり、効率よく油脂汚れを落とすことができます。カレーやケチャップの食べこぼしや、キッチンの汚れ落としに最適です。
また、アルカリはたんぱく質を分解する性質を持っています。赤ちゃんが吐き戻したミルクやおもちゃについた手垢などのたんぱく汚れを落としたいときに便利です。
洗濯からキッチンまで!掃除で幅広く活躍
食べこぼしで汚れた子どもの衣類は、手洗いで軽く汚れを落としてからアルカリ性洗剤で漬け置き洗いするとすっきり洗うことができます。襟袖についた汚れには洗剤を直接塗ってもよいでしょう。
キッチンのコンロや壁の汚れはアルカリ性洗剤をスプレーして拭き取れば簡単に掃除ができます。五徳についたしつこい汚れは漬け置き洗いや煮洗いが最適です。
子どものおもちゃ、家具、ソファーなどの掃除にも活躍しますよ。界面活性剤が入っていない洗剤なら赤ちゃん用品にも安心して使えますね。