育児休暇中は給与がもらえない?出産時や育休中の給付金制度とは
働くママが増えるとともに取得率が高くなってきた「育休」ですが、利用するときに気になるのが育休中の収入です。「育児中は給与がもらえない」といわれていますが、収入はどうすればよいのでしょうか。今回は育児休暇と育児休業の違いや、出産時、育休中の給付金制度を紹介します。
育児休暇と育児休業の大きな違いとは
育児休暇と育児休業の法律上の違い
育児休業は「育児・介護休業法」という法律で定義されている休業で、取得できるのは子ども1人につき1回のみ、取得できる期間は原則、子どもが1歳になるまでです。
一方、育児休暇は法律で定義された言葉ではなく、会社が育休制度を就業規則に盛り込むときに使われています。
呼び名が違うだけで内容は同じということも少なくないようですが、会社によっては独自の規定を持っていることがあります。育児休暇の内容は会社によって違うということですね。
給付金制度があるのは「育児休業」のみ
一方、法的に定義された育児休業は休業中に減った収入を国が補償する給付金制度が設けられています。休業前の収入と同額というわけではありませんが、給付金があると育休を取得しやすいですね。
また、育児休業を定義している育児・介護休業法では、育休取得によって降格や異動、解雇、減給などの不利益な取り扱いをしてはいけないということも定めています。
しかし、育児休暇の場合は法的な定めがないため人事査定に影響する可能性は否定できません。
育児休業はパパも法的に取得ができる
出産直後のママは母体保護のために8週間の産休を取得することが義務付けられているため、育休を取得できるのは産休が終わってからです。パパには産休がないため子どもが生まれてすぐ育休を取ることができます。
また、パパの育休はママの育休にはない「パパ休暇」という制度が設けられています。この制度は「子どもが生まれて8週間以内に育休を取得・終了した男性は、もう一度育休を取得できる」というものです。
給付金はパパが育休を取るときも支給されます。「パパ休暇」のときも給付金を受け取れますよ。
育児休業給付金の支給条件と期間とは
雇用保険へ加入していることが条件
そのため、育児休業給付金を受け取るためには雇用保険に加入していることが条件となります。自営業などで国民健康保険に加入しているママは、雇用保険に加入していないので受け取ることができません。
また、パパが入っている雇用保険の扶養に入っている場合、パートなどで働いていて育休を取得できること、休業前の2年間で「11日以上出勤した月」が12カ月以上あることなどの条件を満たしていれば給付金を受け取れます。
専業主婦は雇用保険の扶養に入っていても、「育休」自体がないため給付金は受け取れません。
原則1歳までだが2歳まで延長も可能
しかし、近年は子どもが1歳を超えても保育園に入所できないケースが増えています。このような場合に備え、これまでは1歳半まで育休の延長が可能とされていましたが、2017年からは2歳まで延長できるようになりました。
育休期間を延長した場合、給付金の受け取り期間も延長することができます。会社で手続きを行うのが一般的ですが、ハローワークに行って自分で手続きすることも可能です。
子どもが保育園に入所できなかった場合、育休を延長するか認可外保育園などを利用するか選ぶことができますね。
180日までは給料の67%を受け取れる
給付金の計算方法は民間企業と公務員で微妙に異なりますが、どちらの場合も育休開始から180日までは休業前に受け取っていた給料の67%程度になります。基準になるのは育休取得直前の額ではなく「直近6カ月の平均額」です。
また、180日以降は67%から50%に減額されます。金額が急に減ってあせらないよう注意してください。
パパ休暇で育休を2回取得した場合、2回目の給付金額は「1回目の育休と合わせて何日目か」で決まります。例えば、1回目の育休を30日間で終えた場合、2回目の育休は31日目からとして計算されるため、支給額は給料の67%です。
出産時に支給されるそのほかの給付金
原則42万円の出産育児一時金
これは高額な出産費用による家計負担を軽減することを目的とした制度で、正社員やパートで働くママはもちろん、仕事をしていない専業主婦や雇用保険に入っていない自営業のママでも受取ることができるお金です。
原則、子ども1人につき42万円が支給され、双子や三つ子などの場合は子どもの人数分支給されます。出産した病院が申請と受け取りを行う「直接支払制度」を利用すれば出産に備えてまとまったお金を用意する必要がありません。
正産期での通常分娩はもちろん、帝王切開による出産でも支給対象になります。また、妊娠4カ月以上であれば流産や死産も支給対象です。