子育てに里山保育を取り入れるメリット。感性豊かな子どもに育てよう
「里山保育」を知っていますか?森や川、田畑などの自然の中で体験することを基軸とした保育のことです。「森のようちえん」という名称で呼ばれることもあります。今回は「里山保育ってどういうもの?」「子どもにどういう影響があるの?」など、まだまだ知らないことの多い「里山保育」についてご紹介します。
里山保育ってどんなことするの?
何があるかな?たくさん外へ出かけよう
家から一歩外に出るだけで「木々が色づいてきたな」「飛行機雲があるな」など、ワクワクする体験もたくさん見つかります。
テレビやインターネット、図鑑で見たり調べたりするのもよいですが、実際の体験に勝るものはありません。外へ出て直接感じることで、より知識を深めることができるでしょう。
また自然と触れ合うことは、問題に直面したときに自分自身で判断をしたり、解決したりする力を養う効果も期待できるといわれています。
子どもが主役!大人は見守ろう
大人が遊びを教えるのもよいですが、子ども自身が「身近にあるものを使ってどう遊ぶか」や「どういうルールで遊ぶか」など考えることも大切です。大人が思いつかないような面白い発想で、ママを驚かせてくれることもありますよ。
自然の中で遊ぶときには危険がともなうことも少なくありません。子どもは遊ぶことに夢中になってしまうので、ママがハラハラすることも多いでしょう。
しかし、なんでもかんでも「危ないよ」「ダメだよ」と先回りして注意すると、子どもの考える機会を奪ってしまいます。大きなケガをしそうなときなど、大人の助けが必要なときは、しっかり手を差し伸べ、それ以外はできるだけ見守るようにしてくださいね。
食育に力をいれているところも
米や肉、野菜、魚、果物など、毎日の食事で出てくる食べ物が、どう作られ、育てられているのかを実際に見ることは、子どもにとって貴重な体験になります。
直接目にすることで、食べ物に感謝の気持ちを持つ子どもも多いようです。自分のご飯が、誰かが大切に育ててくれたものだと知れば、好き嫌いもなくなっていくかもしれませんね。
また子どもと一緒に家庭菜園を楽しむのも、食べ物について学ぶよいきっかけになります。「自分が育てた野菜だから」と野菜嫌いを克服した子もいるそうですよ。
里山保育には、実際に動物を育てる農業体験や、育てた野菜などを使って食事を作る調理体験を通して、命や食の大切さを学べるところもあります。
里山保育のメリットはどんなこと?
自分で考えるようになる
おもちゃがないと「遊ぶものがない」と思う子どももいますが、里山保育では自然そのものが「遊び道具」です。目に映るものすべて、どのように使ってもよいのです。
木の枝や落ちている葉っぱ、小さな石など「遊びたい」という思いがあれば、子どもはそれらをどう使って遊ぶか考えていきます。大人が思いつかない遊びが始まることも多いでしょう。
使い方が決まっていない自然のものだからこそ、自由に考え、工夫して遊ぶことができるのです。発想を膨らませ、想像力を鍛えることは、生きていく上で大切な力を育てます。
自然や命の大切さを学べる
毎日の散歩中に見る花があるとします。「芽が出てきたね」「綺麗な花が咲いたね」と話していても冬を迎えるころには、花は枯れてしまいます。枯れた花を見て、とても悲しく感じる子どももいるかもしれません。しかし「命には限りがある」ということを知ることで、豊かな感情性は育っていくのです。
「今この瞬間を大切にしないと、二度と同じ瞬間はやってこない」ということを、自然の中ではたくさん実感することができます。「生きているとはどういうことか」を自然と感じることができるのも、里山保育の魅力ではないでしょうか。
自然の中で遊んで健康に
自然の中で遊ぶときは、走り回ったり、木登りをしたりと、いつも以上に体を思い切り動かします。
水たまりがあれば靴が濡れないようにジャンプをしたり、つま先だけで歩いたりすることもあるでしょう。少し高くなったところから落ちないように、バランスをとって歩くこともあるかもしれません。
何度でもチャレンジできる自然の中だからこそ、失敗を恐れることなく楽しんで体を動かせます。五感をフルに働かせる遊びは、知らないうちに子どもの基本的な身体能力を高め、健康な心と体に導いてくれるでしょう。
自然体験は子どもの自己肯定感を高める
自己肯定感が低い人が増えている
近年、子どもも大人も、自己肯定感の低い人が増えています。東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が2015~2017年の間に共同で行った研究によると、自分の長所を答えられない子どもは、実に43.4%にものぼりました。
自己肯定感は、誰しも生まれながらに持っているものですが、成長していく中で、壁にぶつかったり、周囲から否定的な言葉をかけられたりすることで、失われることがあります。
しかし感受性が豊かな子どもの自己肯定感は、些細なきっかけでプラスに転じることも多いものです。