新生児と涙との関係は?涙の役目や涙や目やにが多いときの注意点とは
新生児のときに泣いているのに涙が出ていないと驚いた人もいるかもしれません。「涙を流さず泣くなんてどこか悪いのかも」と心配になるママもいるでしょう。しかし、新生児が涙を流さないのは理由があるのです。そこで、涙の役目や涙を流さずに泣く理由、涙が多いときに気をつけたいことなどをご紹介します。
目次
- 人の目から涙が流れる理由としくみ
- 目の機能を守る「保護」の涙
- 目の異物を洗い流す「反射」の涙
- 心を映し出す「感情」の涙
- 新生児が泣いても涙が流れない理由
- 新生児は涙をつくる機能が発達していない
- 新生児の脳の機能がまだ未熟なため
- 泣くのは新生児のコミュニケーションツール
- 新生児が涙を流しはじめる時期の目安
- 目が発達すると涙が流れるようになる
- 感情が現れだすと涙も流れる
- 涙が流れると鼻水も出るように
- 涙や目やにが多すぎるのは目の病気の場合も
- 目やにが多く片目から涙「新生児涙嚢炎」
- 涙があふれ目がうるむ「新生児鼻涙管閉塞」
- ママもできる赤ちゃんの涙のホームケア
- 涙や目やにが多いときはやさしく拭きとり
- 目頭をやさしく鼻涙管マッサージ
- 乾燥を防いで涙や鼻水が出過ぎないように
- まとめ
人の目から涙が流れる理由としくみ
目の機能を守る「保護」の涙
涙で覆うことによって目の表面の乾燥を防ぐとともに、外的刺激からも目を守っているのですね。また、酸素や栄養など目の細胞を健やかに維持するために欠かせないものも、涙によって供給されています。
酸素や栄養は血液で運ばれますが、目の表面には血管がないため、代わりに涙が酸素や栄養を運ぶのです。さらに、目の表面を涙が潤して滑らかに保つことで、光が正しく屈折します。そのため物を鮮明に見ることが可能になります。
目の異物を洗い流す「反射」の涙
これは角膜にある知覚神経が刺激を感知することで、瞬間的に反射性の涙が分泌されて異物を洗い流して目をガードするためです。目を守るために欠かせない反射作用なのです。
また、目も日々新陳代謝を繰り返しています。そのため老廃物が出てくるので、そういった老廃物もゴミなどと一緒に、涙によって洗い流されていきます。
もしも涙がなければ、ゴミや花粉などが目の表面に付着したままたまってゆき、目を傷つけてしまうかもしれません。涙の働きは目を守るためにも重要なのですね。
心を映し出す「感情」の涙
感情の高ぶりによって溜まったストレス物質は、脳の前頭前野が働くことで副交感神経を活発に働かせ大量に分泌した涙で洗い流されているといわれています。涙とともに体にとって余計なストレス物質を体内から排出しているのですね。
ちなみに、怒りや悔しさの感情の場合、人は交感神経の働きが優位になるため、涙はしょっぱくなるそうです。一方、喜びや悲しみの感情の場合は副交感神経が優位になるので、涙は甘くなるといわれています。感情で涙の味が変わるとはおもしろいですね。
新生児が泣いても涙が流れない理由
新生児は涙をつくる機能が発達していない
新生児期の赤ちゃんは、消化機能や体温調節機能などを始めとした、体のあらゆる機能が未熟です。涙腺の働きも充分に発達していないため、目の潤いを保つ程度の必要最小限の涙しか分泌できないのです。
外にあふれるほどの量の涙を作り出すことができないため、新生児は涙を流しながら泣くということができません。むしろ、新生児期から涙があふれて目が潤んでいるような場合には、病気の可能性があります。病気についてくわしくは後述しますね。
新生児の脳の機能がまだ未熟なため
つまり、精神的な興奮や情緒的な感情によって涙を流すということがないのです。新生児期に笑顔を見せることはあるので、「嬉しい」「楽しい」といった感情があるように見えますが、これも感情で笑っているのではなくて「新生児微笑」と呼ばれる生理現象の一つです。
感情は脳にある扁桃体で形成されます。自分の身に起きた状況を「快・不快」「好き・嫌い」で判断し、扁桃体で形成された感情によって交感神経や副交感神経が働き、涙腺を刺激して涙を分泌するのです。
泣くのは新生児のコミュニケーションツール
自分に嫌なことがあったときや不快に感じることがあった場合に、大人は言葉で気持ちを表現することができますが、赤ちゃんは言葉を発せられないので泣くことで表現するのです。
特に、「快・不快」の感覚しかない新生児にとって「泣く」ということは、感情を表現するというよりも甘えたい気持ちや空腹などの欲求を伝えるための手段であるといえます。新生児期の赤ちゃんは、自分の訴えをママに伝えるコミュニケーションツールとして泣くのですね。
新生児が涙を流しはじめる時期の目安
目が発達すると涙が流れるようになる
ですが、涙腺の発達には個人差があります。発達が早い赤ちゃんでは、生後3カ月よりも前に涙を流すようになる場合もありますし、逆に発達がゆっくりな赤ちゃんでは、生後6カ月くらいになっても涙を流さないということも珍しくないのです。
ちなみに、涙はまばたきによっても分泌されますが、生後数カ月の赤ちゃんはほとんどまばたきをしません。成長とともに段階的に回数が増え、大人になると1分間に15~20回程度のまだたきをするようになります。
感情が現れだすと涙も流れる
【3~6カ月頃】
「 快・不快」だけでなく、不快な感覚から怒りや恐怖などの感情を持つようになります。
【6カ月~1歳頃】
悲しみ、喜びの感情を持つようになり、事物への愛情や満足感、疲労といった感情も生まれます。
このように、情緒が発達し感情が現れ始めるということは、感情を形成する脳の扁桃体が発達してきているということです。こうして形成された感情が、交感神経や副交感神経を働かせて、涙腺を刺激することで涙が流れるようになります。
赤ちゃんが感情の起伏によって涙を流すようになるには、目と脳の両方の発達が必要なのですね。
涙が流れると鼻水も出るように
この鼻水は、風邪をひいたときのように粘りのあるようなものではなく、サラサラとして無色透明です。実は泣いたときに流れる鼻水の正体は「涙」なのですよ。
目と鼻は鼻涙管(びるいかん)という部分でつながっていて、普段から、分泌された余分な涙は鼻涙管をとおり鼻の奥の方へ流れていきます。
そのため、たくさんの涙を流すとそれが目からこぼれるだけでなく、鼻涙管をとおって鼻の方にも流れるのです。そうして流れた涙が、鼻水となって出てくるというわけです。