子どもが上手に意思表示できない。言いたいことが言える子になるには
言いたいことがはっきり言えないわが子を見ると、友だちや先生にきちんと意思表示ができずに困るのではないかと心配になりますよね。今回は、きちんと意思表示ができる子どもを育てる方法を紹介します。日本人より意思表示が上手な欧米の子どもの鍛え方もおすすめですよ。
意思表示がちゃんとできているか知ろう
意思表示が顕著に現れるのはイヤイヤ期
子どもの意思表示が顕著に現れるのは「イヤイヤ期」です。ママにとって大変な時期なのですが、子どもが意思を持つのに必要な時期なのです。
ドイツの心理学者ヘッツァーの研究では、イヤイヤ期に強い反抗を示した子ども100人のうち84人が青年期にしっかりと自分の意思を持つようになっていて、反抗を示さなかった子どもは100人のうち16人ほどという結果がでました。
イヤイヤ期にしっかり反抗するのは成長過程で大切なことなのですね。
意思表示が苦手な子どもになる親のNG行動
また、日本のママは、外出前に「上着着た?」「傘持った?」と聞くなど先回りする傾向があります。行き過ぎると、「何飲む?」と聞かれたときに「牛乳が好きだから牛乳よね」などと、いつもママが察して伝えてくれるので、自分で考えて意思表示をする必要性を感じなくなります。
子どもの代弁をするのは必要なときのみで、普段は子どもの言葉を待つようにしましょう。
意思表示をしたくてもできない「場面緘黙」
家ではおしゃべりなのに幼稚園や保育園ではしゃべらないと、人見知りだと思いますよね。人見知りならば慣れると話すようになりますが、1カ月以上経ってもまったく話さない場合、場面緘黙の可能性もあります。
そのほか、先生や近所の人など特定の人と話せない、特定の場所に行くと動かなくなる、他人との関りを避ける、話すことを頑なに拒否するが、指さしや頷くなどの意思表示はするといった特徴もあるようです。
気になるようでしたら、かかりつけの医師に相談してくださいね。
意思表示のできる子どもに育てるためには
子どもが自分自身で選択する機会をつくる
まずは、子どもが自分で選択する機会をつくりましょう。
選択肢がたくさんあると難しいので、初めは「どの服が着たい?」ではなく「どっちの服を着たい?」と2択にするなど、2~3個から選ぶことから始めるとよいですよ。
このときに心がけたいのが、急かさないことと、選択したことを否定しないことです。また、「赤と青どっちがよい?」ではなく「赤い服を着る?それとも青い服を着る?」と文章で聞き、子どもの返事も「こっち」ではなく「赤い服が着たい」と文章できちんと伝えるように促しましょう。
子どもの伝える力が育まれる工夫をする
嫌な理由をママが聞いて、「おもちゃを取られてくやしかったんだね」などと代弁していると、気持ちと言葉がつながって色々な表現を覚えます。理由を聞くときは5W1Hの「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「どのように」を聞くとよいでしょう。
また、伝え方も大切ですよね。「嫌って言えばよいでしょ」というのは、争いを好まない子にはストレスになってしまいます。
先生にひとりで話しかけられないときは、友だちに一緒にいてもらう、友だちにブロックを取られそうになったら「これだけ作りたいから、作った後に渡すね」と言うなど、子どもができそうな案を伝えましょう。
聞き流さずに親子で会話を楽しむ
「こうだよね」とママが先に結論を話したり「何が言いたいの?」と急かしたりはせず、子どものペースで話し終えるまで聞きましょう。話が長くても、空返事はせずに目を見て聞いてくださいね。ママは感想などをきちんと伝え、親子の会話を楽しみましょう。
また、「やばい」は、美味しい、不味い、可愛い、可愛くないなど、肯定にも否定にも使える便利な単語ですが、ママがなんでも「やばい」と表現すると、子どもの発する言葉が乏しくなってしまいます。
「両手で抱えきれないくらい大きいね」「さらさらしていて気持ちがいいね」など、ママが色々な表現を使うようにしましょう。
楽しみながら意思表示力を鍛えていこう
絵本の世界からいろいろな表現を知る
絵本は作者が色々な表現を使って物語を伝えてくれますよね。定期的に図書館で新しい本を借りてくれば、たくさんの物語に触れることができますよ。
絵本を読んだ後は、絵本の内容について一緒にお話ししましょう。話し合っているときには、物語について考えますよね。一緒に話をしているうちに、物語を深く理解することができます。主人公の気持ちの変化を中心に話をするのもよいですよ。
気持ちの表現がたくさん載っている絵本は、表現方法を学ぶのにおすすめです。子どもと一緒に読んでみてはいかがでしょう。