同居の親を扶養すると税金は安くなる?扶養の仕組みや条件について
親と同居をしている場合など、税金の負担を減らす対策として「親を扶養に入れてみたら?」と言われたことはないでしょうか。子どもと同様に、「親を扶養する」とはどういうことなのでしょうか。本当に税金の負担が減るのか、その仕組みや条件について分かりやすく解説していきます。
扶養の意味についてきちんと理解しよう
扶養には税金上と社会保険上の二種類がある
大前提として親の生活を支えなくてはいけない、または支えている環境があることが大事です。ちなみに、税金上の扶養に入ると納税者であるパパやママに減税というメリットがあり、社会保険上の扶養に入ると親側に保険料の支払い負担が減るというメリットがあります。それではそれぞれがどのような内容なのかチェックしてみましょう。
健康保険の場合は国民健康保険か否か
会社の健保は、たとえば会社員であるパパが扶養している家族もまとめてカバーしてくれる保険です。家族が増えても保険料が変わらないのが大きなメリットですね。
そのため、親がパパの健保に入ることで親自身が払っていた国民健康保険の保険料を支払わなくて済むというメリットがあるのです。扶養に入れる親はそもそも収入が少ないことが条件になるので、この保険料が減るだけでもずいぶん助かるのかもしれませんね。
国民健康保険は家族一人一人に保険料が発生
ただ、赤ちゃんや子どもが自分で働いて保険料を支払いには行けませんので、パパが国民健康保険に入っている場合は、世帯主であるパパに家族全員分の請求がくるのです。そのため、親と世帯が一緒だからといって保険料が安くなるわけではありません。
ただ、上にもあるよう国民健康保険加入者でも税金上の扶養とは話が別なので、減税対策として親を扶養にするメリットに望みをかけてもよいですね。
親を扶養に入れると税金は安くなる?
親を扶養に入れると扶養控除が適用される
扶養控除は、扶養に入れたい親の年齢や同居かそうでないかによって減税される所得税と住民税の控除額が変わります。一番控除額が大きくなるのは親が70歳以上で同居している場合です。この場合、所得税率10%の人なら扶養控除で年間の税金が16万円以上安くなる可能性があります。
ただ、税金の控除にはリミットがあるため、住宅ローン控除をすでに利用していたり、ふるさと納税などの減税対策をしっかり行っていたりすると期待するほど税金が安くならないこともあるようです。
税金上のデメリットは特になし
現在、税金の控除を可能な限り使っているとすると、扶養控除が適用されず税金は減りも増えもしませんが、同時に親子双方にデメリットも生まれませんので、条件に当てはまれば扶養に入れることを考えてみてもよいですね。ただし、これは公的に「子どもに養われている」と認められたことにもなります。そこに抵抗がある親もいますので、提案する場合は親のプライドを傷付けないよう配慮しながら説明するなど慎重に話を進めるようにしましょう。
社会保険にはメリットもデメリットもある
毎月の医療費が一定額を超えるとその超えた分が返還される「高額療養費制度」というものがありますが、保険加入者の収入によって自己負担額が変わってきます。親の収入よりも子どもの収入の方が多いことから、この場合は扶養に入れていない方が得になります。
ただし、それほど頻繁に入院、手術が予想されない場合にはそんなに心配することではないかもしれませんね。
扶養に入れる条件は税金と社会保険で違う
親の所得が38万円以内で親子の生計が一つ
「年金を38万円以上もらっていたら扶養に入れないの?」と思ってしまうかもしれませんが、この場合も控除があるため年金額がそのまま所得になるわけではありません。所得の計算は収入の種類にもよるので親の収入内容も把握しておきましょう。
もう一つ、親が子に現実的に養われていることも必要です。親が子に金銭面で依存していると認められなければいけませんので、厳しいようですが親が居候している、毎月仕送りしなければ生きていけない、などがそれに当てはまります。