ハイハイが運動神経に繋がる?運動能力がアップするハイハイのすべて
あっという間に過ぎてしまうハイハイの時期。ハイハイするようになると、子どもの行動範囲も広がり、体もしっかり成長していきます。ハイハイが早く始まると運動神経がよくなるなどの話も聞きます。今回は、子どもの発達と運動神経のことをはじめ、ハイハイのメリットなども紹介します。
運動神経の良し悪しと子どものハイハイ
運動神経の良し悪しは遺伝じゃない
ただ、運動神経の良し悪しは、遺伝で決まるものではないといわれています。子どもには親の遺伝子がそれぞれ受け継がれていますが、運動神経に関して影響があるのは、およそ3割ほど。残りの7割は環境によるものとされており、成長の中で行う動作・運動で変えることができるものだそうです。
また、寝返りやおすわりなどの子どもの発達が早いと、運動神経がよいかというと、それも関係がないようです。ついつい他の子と比べてしまい、「できる・できない」に目が向いてしまいますが、体の運動機能がちゃんと「作られているか」が大切です。
そもそも運動神経ってどういうもの?
元々、人が目的を持って動く場合、一つの動作だけではなく、複合的にいくつかの動作をしています。例えば、遠くの物を取るという単純な動きも「手を伸ばす」と「体をひねる」という動作を同時に行っています。この動作のために、脳などの神経から、体の神経回路を通じ、それぞれの筋肉に指示が出ているのです。
運動の場合、同時に行われる動作はより複雑になるため、複数の動作をスムーズに動かす能力(連結能力)が必要です。つまり「運動神経がよい」は、脳からの指示が筋肉に伝わり「思ったとおりに体を動かせる力がある」ことをいいます。
ハイハイが運動神経に繋がるのはなぜ?
このとき、腹筋など体の中心の筋肉、体を支える手の筋肉、前に進む足の筋肉が動きます。これは「体幹」を高める動きに繋がります。体幹とは、体の中心(コア)となる部分で、体幹がしっかりしていると手足を楽に、スムーズに動かすことができ、バランスなどのコントロールにもよい影響があるといわれています。
ハイハイが直接、運動神経に影響するわけではないですが、この動作を通して、体の中心の筋肉である体幹が自然と育ち、運動能力を高めてくれるため、「思ったとおりに体を動かせる力」へと繋がっていくのです。
子どもの運動能力アップに良いハイハイ
ハイハイ期の子どもの発達
首すわり:3~4カ月頃
寝返り:3〜5カ月頃
お座り:7〜9カ月頃
つかまり立ち:8〜11カ月頃
ハイハイ:7カ月過ぎ〜10カ月頃
この他に、ハイハイを始める前の準備として「ずりばい」をする赤ちゃんもいます。うつ伏せになり、お腹をつけた状態で、腕や足で床を押したり、蹴ったりして前や後ろに進む動きをします。
やがて、左右の肘を交互に動かして前進する「ひじばい」に移行し、ハイハイへと進みます。時期は目安なので、ズレていたり、遅れていたりしても心配する必要ははありません。気長に待つようにしましょう。
ハイハイで育つ運動能力とは?
また、手足を動かす、バランスをとるために必要な「体幹」や、床を蹴って進む際に踏ん張るために必要な足の指(特に親指)の筋肉も育ちます。こうした全身の筋肉の成長は、やがて直立するときに必要なバランスや反射神経、運動のためにも必要です。
また、箸を右手、茶碗を左手に持つなど、日常生活にも重要な、2つの違う動きを同時に行う「協応動作」の基礎も育みます。左右違う動き、違う部位の動作を同時にスムーズにできることは、運動のときの動きにも影響するため、この基礎作りが大切になってきます。
ハイハイが少ないとどうなる?
最近では、早い時期に立てる赤ちゃんが増え、ハイハイの期間が短くなったため、転んだ時などに受け身を取る「危険回避能力」も低下しているといわれています。
早く立った姿が見たい気持ちもあり、早々に立つ練習をさせる人もいますが、いずれ自然に二足歩行をし始めます。ハイハイをしている時期は、子どもの基礎を育てるつもりで、焦らずハイハイさせてあげるといいですね。