出産時にお腹につけるモニターで何がわかる?役割や見方を紹介
出産が近づいてくると、妊婦健診のときにお腹にモニターをつける検査をしますよね。出産時にもこのモニターをつけるのですが、数値やグラフの見方がよくわからないというママも多いのではないでしょうか。そこで今回は、出産時につけるモニターの役割や、数値やグラフの見方について詳しくご紹介していきます。
出産時につけるモニターから分かること
陣痛の起こり方や胎児の健康状態
出産するときにつけるモニターを「分娩監視装置」といいます。ママのお腹に巻いているものには、2種類のマイクロホンがついています。このマイクロホンが胎児の心臓の音とママの子宮の収縮状態をキャッチして、2本のグラフにしていきます。
陣痛が始まって産院に行くと、まず、胎児が元気であることを確認するために分娩監視装置をつけます。その後は必要に応じてグラフを確認し、分娩体位になってから生まれるまでは、ずっとモニターを取り続けているのです。
上段は胎児の心拍数や胎動
横軸は時間を表しています。記録紙により、1分間を1cmで表すものと1分間を3cmで表すものがあります。胎児の心拍のちょっとした変化を目で見てすぐに確認するためには、1分間を3cmで表す記録紙の方がよいといわれています。
縦軸は胎児の心拍数(bpm)を表しています。ひと目盛りは30bpmで、最高240bpmまで記録できるようになっています。
下段は陣痛の程度が分かる子宮の収縮の様子
横軸は時間、縦軸は子宮収縮圧(mmHg)を表しています。一直線のグラフが子宮が収縮したときに山型になります。この時期は陣痛の準備である前駆陣痛が始まっているため、検査中に1回くらいお腹が張る程度でしたら大丈夫です。予定日が近づくと回数が増えていきますよ。
早産の時期にお腹が張る回数が多かったり痛みがともなったりするときは切迫早産と診断され、薬を内服するか入院することになります。
また、お腹が張ったときに胎児の心拍が下がる場合は、陣痛時の強いお腹の張りに胎児が耐えられない可能性があるので帝王切開への変更も考えます。
上段の胎児心拍数モニタリングの数値の見方
基準心拍数は110~160bpmが目安
胎児の状態がよいとき、「基線細変動」という心拍数のゆらぎ(細かい変化)があります。妊娠後半期の胎児は、通常6~25bpmほどのゆらぎがあります。
妊婦健診のモニター時間は30~40分だと説明されますよね。胎児はお腹の中で20~40分ごとに寝たり起きたりしています。眠っている間はゆらぎが減るので、モニターでは両方の心拍を確認します。ですのでタイミングによって20分ほどで終了したり少し追加したりすることもあります。
20分で2回ほど数値が高くなれば元気の証
大人も走ったり運動したりすると心拍があがりますよね。胎児も同じように動いたときに心拍があがり、これを「一過性頻脈(いっかせいひんみゃく)」といいます。グラフを見てみると、心拍がギザギザ波打っている間に一時的に心拍があがって山型になる場所があり、これが一定の割合で起こると胎児が元気に動いていることが分かります。
妊娠中は20分間計測をしている間に、心拍数15bpm以上が15秒以上続く一過性頻脈が2回以上あれば問題ないとされ、胎児が元気に動いている証拠になります。
110bpmを下回るとトラブルの可能性
一過性徐脈の多くは子宮収縮にともなって出ますが、へその緒が圧迫されたときに出ることもあります。胎児と子宮壁の間にへその緒が挟まってしまっても姿勢が変わると治りますが、すぐに治らなかった場合、胎児が酸欠状態になってしまいます。
出産時には、胎児が酸欠状態にならないよう、心拍数をモニタリングしています。また、お産以外で下がった場合、下がり方によっては再検査、入院、緊急帝王切開になる場合があります。