子どもがおもちゃを奪い合うのはなぜ?理由や対策、ケア法を知ろう
ケガをしてしまった理由を明確にしよう
たとえば相手のママが「うちの子どもが、おもちゃを取られないように腕で◯◯ちゃんを振り払っってしまい、◯◯ちゃんが近くのテーブルの角で頭を打ってしまった」と話したとします。しかし「腕で振り払ったのではなく手で押していた」とママには見えたかもしれません。
そのことを感情的に主張してしまうこともありますが、なるべく冷静にケガをした理由を明確にさせる話し合いができるとよいですね。この場合、最初におもちゃを奪おうとしたのは自分の子であり、すべてにおいて相手の子が悪いとは言い切れませんよね。
ケンカの理由をきちんと確認しよう
相手が故意にやったのか、身を守るためにやったのかという、ケンカの理由を子どもと深く話し合い確認しましょう。いじめだった場合、ケガの対応だけでなくいじめにも早い対応が必要です。いがみ合いでケガにまで発展したのなら、しばらく2人を離すようになるかもしれません。
また、まれなケースではありますが、万が一後遺症が残った場合、損害賠償請求をしないとは言い切れません。そのときにケンカの理由が大切になってきます。
声かけと止めるべきタイミングを知ろう
激しい掴み合いやケガしそうなタイミング
しかし、大きなケガは避けたいですよね。保育園でも、子どもが叩く、噛みつく、押す、引っかく、ものを投げるなどケガになることをしようとしているときは、止めに入ると言います。
小さい子は、力は強くなくてもまだ加減がわからないことがあります。ママは近くで子どもを見守り、体を使った激しいケンカになる前に、止めに入れるとよいですね。
止めるときは、腕や手を掴むと子どもが脱臼することがあるので、体を抱きとめるようにして止めた方がよいですよ。そのまま抱っこして、「どうしたの?」とお話ししながら子どもが落ち着くまで待つこともできます。
子どもが助けを求めてきたタイミング
体は傷つかなかったとしても、存在を否定されるような聞くに堪えない暴言は、心を傷つけます。また、ママには見えなくてもつねられたり、蹴られたりしている場合もあります。
あるママは、大人しい娘がいつもほかの子にちょっかいを出されるのを見ていましたが、娘が強くなるためと放置していました。ある日、娘が助けを求めてきましたが助けませんでした。
しかし、家に帰りお風呂に入ったとき、服で見えない娘のお腹や背中につねられた跡があったと言います。ママにはわからないつらいことが子どもにあるのかもしれません。
複数人対1人になっているタイミング
ママは中立な立場として、どうして複数対1人になっているのかを聞く必要があります。そして、1人に対して複数で奪うことをどう思うのかを考えてもらいます。
わが子が奪われている1人であるときも、相手の子をただ叱るよりもアンフェアな行為について話し合う方が、その後、同じようなことが起こりにくいといえます。対等にぶつかり合うことがケンカであって複数で1人を攻撃するのはいじめだと、してはいけないことを子どもが理解できるようにしましょう。
奪い合いをおさめる上手なフレーズとは?
「10数えたら貸して」と待つことを教える
そんなとき、もし数が数えられるような年齢であれば、「10数えたら貸して」と奪い合った相手の子に言ってみましょう。「いち、にい、さん…」と一緒に大きな声で数を数えると、おもちゃよりも、数を数える遊びの方が楽しくなることがあります。
10まで数え終わると達成感があり、すんなり貸してくれることがあります。そしてそれからまた10数えて貸し借りをしてもよいですね。
貸し借りを遊びのようにすると、だんだんと奪い合うことが少なくなります。ただし、あまり頻繁にやると子どもが飽きてきて、効果がなくなることもありますよ。
「交換しよう」とものの交換を教える
しかし、そのためには魅力的なおもちゃが必要です。ママは子育て支援センターなどのおもちゃを把握しておき、相手の子が好きそうなおもちゃを選んで、渡してみましょう。
また、子どもが相手の子が遊んでいる積み木を奪おうとしたときは、「一緒に遊ぼう」と言って相手の子の近くでほかの積み木やブロックで遊ぶようにしてみます。すると、相手の子の方が、子どもが遊んでいるブロックなどを欲しがる様子を見せることもあります。
そうしたら「交換しようか?」と話せますね。そのうち子どもたちが2人で交換し合いながら仲よく遊べるようになることもありますよ。
「次、貸して」と貸し借りについて教える
おもちゃの貸し借りの秘訣を見つけた、アメリカの大学の研究グループがあります。その実験では、自分の大切なものをあげるか、自分で持っているかの決断をした子たちが、後で一番たくさんおもちゃを貸せたそうです。自分で重大な決断をした子どもたちは、「自分は貸せるようになった!」と自信がついたのだというのです。
ママが「貸してあげなさい」と指示するのではなく、最初は貸せなくても、子どもにとって貸す貸さないの決断をする積み重ねが、自分の意思で貸せるようになる秘訣といえそうですね。