こけしの由来や種類を知ろう!子どもたちが親しめる作品や体験教室も
近年、こけしは現代になじむデザインのものも多く販売されており、外国人にも人気の高いお土産として注目を集めています。そこで今回は、こけしの魅力を今一度知っていただくために、こけしの由来や誕生の経緯、産地ごとの特徴などについて紹介していきます。
こけしとはそもそもどんなもの?
女の子の顔が描かれた木製の人形
こけしとは一般に、円筒状に削られた胴体に球形の頭につけて、女の子の顔を描いた、手足のない木製の人形のことをいいます。胴体のくびれや模様、顔の表情や髪の毛の描き方などは地域によって異なります。
一般的なこけしは、高さ10cm〜50cmくらい、太さ3cm〜10cmくらいのものが多く、2,000円ほどで購入できるものが多いですよ。なかには、マトリョーシカのようにこけしの胴から小さなこけしが出てくるものもあります。
昔は縁起物や子どものおもちゃだった
こけしと聞くと、素朴で可愛らしいイメージ、あるいは人を模した人形であることから、怖いイメージを持つ方もいるかもしれません。もともとはこけしの起源である東北において、以下のことを目的として江戸時代末期から作られるようになったそうですよ。
・天然痘などの病から子どもを守るための赤物(赤い染料が使われたお守り)
・ろくろを用いて茶碗などの木工品を作る職人(木地師)が、山の神信仰をもとにして作った子どものおもちゃ
・五穀豊穣を願った農民の祈り
・湯で病を治す、疲れをいやすという湯治の習慣により、温泉地に観光に来た客のお土産
伝統的なこけしだけでなく現代的なこけしも
・伝統こけし
作られ始めた当初の様式にしたがって作られたこけしのことで、製作される産地や形式、伝承経緯などによって、さらに細かく分類されます。頭と胴体を一体の木で作るもの、頭と胴体を別々に作成し、頭部の穴に胴体をはめこむものなど、実に様々です。
・新型こけし、創作こけし
京都や群馬などの、こけしの発祥地である東北地方以外の地域において普及したこけしのことを指します。手足がついたもの、アニメにちなんだキャラクターものもあります。伝統こけしの流れを受けながらも、それぞれの地域で発展してきた、オリジナリティの高い工芸品です。
こけしは全国各地で生産されている
宮城県を中心に東北地方はこけしが有名
それぞれの観光地においてこけしはお土産品として重宝されたため、こけしを飾ったり子どものおもちゃとして与えたりする文化が、宮城県を中心とする東北地方において根づいたとされています。
こけしは江戸時代末ごろから作られはじめ、長きにわたって技術や特徴が代々伝えられてきました。とくに、鳴子系、遠苅田系、弥治郎系、作並系、肘折系、という宮城県の5系統に関しては、経済産業大臣より伝統工芸品の指定を受けています。
系統ごとに、由来や姿かたち、顔の描き方がやや異なるため、それぞれの魅力を楽しむことができますよ。
大きさや表情などの特徴も様々
・弥治郎(やじろう)系
白石市の弥治郎という集落で作られるこけしのことです。頭は胴に対して大きめで、頭にベレー帽のようなろくろ模様(ろくろを回して入れた線の模様)、胴にも太い幅のろくろ模様があります。
・遠苅田(とおがった)系
遠刈田温泉を中心に作られています。三日月型の切れ長の目や、頭部から耳の横にかけての赤い線、菊や梅の模様が描かれています。
・鳴子(なるこ)系
鳴子温泉を中心に作られています。胴が太く安定感があり、首を回すとキュッキュッと音がします。重ね菊という写実的な模様も特徴的です。
お土産として女性や外国人にも人気が高い
また、こけしは完全に日本発祥の人形であることから、海外で似たようなデザインのものは見られませんよね。日本独自の文化や歴史を象徴するお土産として、こけしは海外の人たちにも人気が高いようですよ。
近年では、こけしをオブジェとして自宅にコレクションする外国人が珍しくないほど、世界でもこけしは日本の代表的な伝統工芸品として浸透してきているのです。
子どもも親しみやすいこけし作品や教室も
かわいい雛こけしや便利な明かりこけし
・明かりこけし
こけしといえば、床の間などに飾る木彫りの人形というイメージかもしれませんね。しかし明かりこけしの場合、横にすると自動的にライトが点灯する機能がついているため、災害時に活躍してくれます。震度3〜4程度の揺れでこけしが倒れ、自動的に光るよう設定されていますよ。
・雛こけし
伝統こけしの技術や描き方を取り入れて作られた雛人形のことです。木の温もりを感じられる、眼差しがやさしいので子どもが怖がらないなどの理由から、人気を集めています。