育児と介護が同時にやってきた!生じる問題と対応策について知ろう
近年、晩婚化などの影響もあり出産年齢が高くなりがちです。その分自分たちの両親も年齢を重ねていますよね。子育てを手伝ってもらうことを考えていたのに、逆に両親が体調を崩してしまうことも。そうなると、ママたちが介護をしなければならず負担がかかることもあります。そんなときに備えるための対応策をご紹介します。
育児と介護の両立「ダブルケア」について
ダブルケアの状態と背景
昔は、女性も若いうちに子どもを生み育てていたため、自分の親が年を取るころには子どもも手がかからなくなったり、巣立ったりしたあとでした。そのため、ダブルケアになることも多くありませんでした。
しかし、近年では女性も共働きを続けたり、晩婚化傾向になったりしています。そんな世の中の背景もあり、子育てと介護が同時に訪れるようになったのです。
ダブルケアに直面している人口と年齢層
女性
1位40~44歳29.3%
2位35~39歳27.0%
3位30~34歳16.4%
男性
1位35~39歳23.5%
2位40~44歳22.9%
3位30~34歳16.5%
この結果から女性、男性ともに、子育て真っただ中の30~40代に集中していることがうかがえますね。
ダブルケアの平均年齢は40歳前後で、育児のみしている人の平均年齢より4~5歳高く、介護のみしている人の平均年齢より20歳ほど低い結果が出ています。
ダブルケアのおもな担い手
ダブルケアを行っている人たちへの配偶者からの手助けがあるかの問いに関して、実に女性の4人に3人が得られていないという回答になりました。それに対し、男性の半数が「ほぼ毎日手助けがある」と答えています。
このことから女性が介護に携わる場合において、おもな担い手になった上に孤独な状況でのケアになることが多いといえるでしょう。
また、ダブルケアを行っている人の有職割合は、女性が約半数、男性は9割にもなっています。無職でダブルケアをしている女性の中で、就業希望している人は63.3%にのぼっています。
育児と介護の両立により発生する問題
労働時間の減少や離職
それに加え、日本社会ではまだまだパパの収入が主軸となって生活している家庭も多く、共働きであっても時短、もしくは退職や転職を選ぶ割合は女性の方が多くなっているのが現状でしょう。
ダブルケアにより労働時間や業務量を変更した割合は男性が2割に対し、女性は4割と倍になります。また、このうち離職することになったのは、男性が2.6%に対し、女性は17.5%と6.7倍も高くなっています。
おもな担い手の精神的負担
家事・育児・介護と重なるとすることが多くなり、休むタイミングを見いだせないままズルズルと毎日を送りがちになります。疲れがたまっても休めない、休めないから疲れが取れないと悪循環に陥り、介護している人まで健康を害することになるのです。
仕事なら辞職という選択肢もありますが、育児と介護にはそれがないことも多く、家族の手助けや理解がなければ辛くなる一方となるでしょう。親の介護を妻に任せながら感謝がなかったり、暴言を吐いたりする夫に精神的に追い詰められたりする女性も多いようですよ。
介護による経済的負担
ダブルケアにかかる費用負担の平均は1カ月約82,000円で、このうち親の年金ですべてを賄えている人は全体の2割です。毎月の平均年金額は、国民年金55,000円、厚生年金147,000円です。
国民年金の制度上の満額は64,941円ですが、平均はこれより下回っていることから満額以下か不支給の人も多いということでしょう。厚生年金は給与により月額が変わってくるため、男女差が大きいことも念頭に入れておきましょう。
ダブルケアに向け備えることで余裕を持とう
自治体の支援を知って活用する
・大阪府堺市
2016年11月に「ダブルケア専用窓口」を設置
介護の専門知識を持つ職員が相談に応じてくれる(9:00~17:30)
・香川県
2016年4月からダブルケア当事者が集まる「ダブルケアカフェ」をNPOが月1回無料で開催
・京都府
2017年2月に「仕事と介護・子育て両立支援ガイドブック」を作成し、地域包括支援センターへの気軽な相談を呼び掛けている
・横浜
ダブルケアサポート横浜プロジェクトが進行し、ダブルケア当事者に向けハンドブックを作成・販売や「ダブルケアカフェ」の運営、勉強会、講演会を開催
居住地の自治体でも何かおこなっていないか、問い合わせてみましょう。