新生児はうつ伏せにしてよいの?危険性と安全な練習法を知ろう
新生児をうつ伏せにすることは、赤ちゃんの健やかな成長のためによい運動だといわれています。しかし、赤ちゃんをうつ伏せにすることは、窒息のリスクが高まります。ここでは、安全にうつ伏せの練習をする方法や、危険を避けるためのポイントなどを紹介したいと思います。
目次
- うつ伏せはOK!注意したい「うつ伏せ寝」
- 「うつ伏せ」と「うつ伏せ寝」は違う
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク
- 寝返りできずに窒息する可能性がある
- 睡眠中の窒息を予防するうつぶせ寝防止策
- 大人が近くで赤ちゃんの様子を気にかける
- 顔の近くにクッションなど物を置かない
- 気になるようなら寝返り防止グッズを使う
- 新生児をうつ伏せにさせるメリット
- 赤ちゃんの運動機能を発達させてくれる
- 授乳後ゲップが出やすくなるので苦しくない
- 絶壁予防で頭の形がきれいになる
- 床やマットでうつ伏せ練習するときの注意点
- 機嫌がよいときに数秒からスタートする
- うつ伏せの練習している周りに物を置かない
- 赤ちゃんから目を離さずに見守る
- うつ伏せでしか寝付かない場合はどうする?
- うつ伏せ姿勢の「ラッコ抱き」を試してみて
- 毛布やおくるみに包んであげるとより効果的
- ラッコ抱きなら、抱いているママも楽
- 赤ちゃんが安心するうつ伏せの姿勢の抱っこ
- 抱っこされると心拍音が聞こえ安心する
- お腹の中にいるときの姿勢で安心できる
- ママやパパと密着できて安心する
- うつ伏せ抱っこで寝かしつけるときの注意点
- 赤ちゃんの顔は呼吸できるように横に向ける
- 抱っこしている人は赤ちゃんと一緒に寝ない
- 赤ちゃんが寝たら布団へ運び仰向けに寝かす
- 新生児のうつ伏せ写真を撮りたい場合
- ニューボーンフォトは自然なポーズで残そう
- 写真を撮るときはフラッシュをたかない
- プロのカメラマンにお願いをする
- まとめ
うつ伏せはOK!注意したい「うつ伏せ寝」
「うつ伏せ」と「うつ伏せ寝」は違う
うつ伏せの状態にするのが、起きている間か、寝ている間かがポイントです。「うつ伏せ」の状態になること自体は、ハイハイやずりばいなどをする体の発達や成長の中で必要な過程の一つですので、悪いことではありません。
一方、うつ伏せの状態で寝かしつけてしまったり、赤ちゃんが寝返りをうてるようになり、自分でうつ伏せになって寝てしまったりすることが、窒息のリスクが高い「うつ伏せ寝」ということになります。
乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスク
乳幼児突然死症候群(SIDS)というのは、赤ちゃんが睡眠中に突然死してしまう病気のこと。生後2~6カ月頃に起こりやすい病気です。原因ははっきりわかっておらず、完全に予防できる方法はまだありません。最近の研究からは、呼吸機能や睡眠との関係が指摘されています。SIDSは事故ではなく病気と捉えることも大切です。
うつぶせ寝は、直接的に乳幼児突然死症候群(SIDS)につながるとはいい切れません。ただ、仰向けに寝かせると発生率が下がることを示す統計結果はありますので、関連性はあると考えられます。また、厚生労働省も、赤ちゃんのうつぶせ寝を避けるよう注意を呼びかけています。
寝返りできずに窒息する可能性がある
寝返りをうまく自分でできないうちは、うつ伏せ寝をさせないように注意しましょう。
また、1980年代後半には、乳幼児突然死症候群と赤ちゃんのうつぶせ寝の関連が指摘されはじめました。睡眠中に赤ちゃんが死んでしまう乳幼児突然死症候群ですが、残念ながら平成28年度は、109名もの赤ちゃんが乳幼児突然死症候群で亡くなっています。
明確な原因はわかっていませんが、うつ伏せ寝によって発症率が高まることが、いろいろな研究で指摘されています。
睡眠中の窒息を予防するうつぶせ寝防止策
大人が近くで赤ちゃんの様子を気にかける
保育園などでうつぶせ寝による事故が起こっていますが、原因としては、スタッフが寝ている赤ちゃんの様子を十分に見守ることができていない状況にあるようです。
また、うつ伏せ寝をしていると、布団や服が呼吸を妨げてしまい、事故につながることがあります。「赤ちゃんの呼吸を妨げる要素や物はないか」など、大人が気をつけて、事故にならない環境を整えてあげるようにしましょう。
寝返りがうまくできない赤ちゃんの場合はサポートしてあげるなど、できるだけ目を離さずに見守ってあげてくださいね。
顔の近くにクッションなど物を置かない
赤ちゃんがうつ伏せになって気道を確保しようとしても、柔らかい枕やクッションが邪魔をしてしまう場合があります。布団や枕、クッションなどは顔の近くには置かないようにしましょう。
また、赤ちゃんは自分の手などで物を払いのけることはできません。なので、ぬいぐるみなどの小物も、睡眠時にはベッドから取り除いておくとよいでしょう。厚手の服も、服が乱れてしまうと、服で呼吸を妨げる恐れがあるので、注意が必要です。
赤ちゃんはまだ自分で行動できないということを頭に入れて、できるだけ障害になるものを排除していくことが大切です。
気になるようなら寝返り防止グッズを使う
最近では、いろいろな寝返り防止グッズがあります。例えば、硬くて高めのクッションで赤ちゃんを挟むことで、寝返りを防ぐ寝返り防止クッションや、赤ちゃんの寝返りを防止するマットもあります。
寝返りは赤ちゃんに必要な成長過程なので、寝返り防止は成長を妨げるという意見もあります。たしかにいつまでも寝返り防止策をしていては、よくない面もあるかもしれません。
しかし、うつ伏せから自力で体勢を整えられないうちは、寝返り防止をしたほうが安全です。慎重に見極めて、対処してみてくださいね。
新生児をうつ伏せにさせるメリット
赤ちゃんの運動機能を発達させてくれる
うつ伏せのときに赤ちゃんは、頭を持ち上げようとしたり、横向きになろうとしたりしてがんばります。この運動が、首~背中や肩甲骨などの筋肉の発達、体のバランス感覚によい影響を与えるのです。
また、うつ伏せの姿勢から、腕を伸ばして体を反らしたり、寝返りをしたり、ハイハイで移動するような動きをします。このような各種の動きは、「あんよ」や「たっち」など、赤ちゃんの次のステップに必要な運動能力の発達につながると考えられています。
授乳後ゲップが出やすくなるので苦しくない
赤ちゃんが仰向けのときは、食道と胃がつながっている「噴門」が下向きになります。その噴門から遠い胃の上側にはゲップが溜まりやすく、噴門から近い胃の下側にはミルクや母乳が溜まりやすい構造になっています。そのため、ミルクや母乳が食道へ逆流しやすくなってしまうのです。
逆に、うつ伏せのときは噴門が上向きになります。噴門に近い胃の上側にはゲップが、噴門から遠い胃の下側にはミルクや母乳が溜まりやすくなります。この状態だと、ミルクや母乳を吐きにくくなり、ゲップも出やすくなるのです。
なかなか体の内部の状態まではわからないものですが、このようなメリットもあるのですね。
絶壁予防で頭の形がきれいになる
赤ちゃんの頭は狭い産道を通れるように、骨は薄く柔らかく、変形しやすい構造になっています。そのため、ずっと仰向けにしたまま寝かせていると、頭の骨が丸くならずに後頭部がいわゆる「絶壁」になってしまうのです。
絶壁頭になると、大きくなってからも絶壁であることにコンプレックスを持ち続ける人もいます。そうならないために、できることはやってあげたいものですよね。
絶壁を予防するためには、赤ちゃんを横向きにして寝せたり、ときどきうつ伏せにしてあげるとよいようです。しかし、うつ伏せにするときはママがそばで見守ってあげられるときにしましょう。