子どもが睡眠中に歩くのが心配!夢遊病と寝ぼけの違いと対処の方法
夜中に子どもが起きて、うつろな目で歩いているのを見つけたことがあるママもいますよね。朝起きてから「夜中のこと覚えている?」と聞いて、記憶がなければ「夢遊病」、記憶があれば「寝ぼけ」といえます。よくにた症状ですが実は違うのです。ここでは子どもが睡眠中に歩く理由を知り、その対処法を考えてみます。
睡眠中に歩く夢遊病ってどんな病気?
ノンレム睡眠のときに起こる睡眠障害
よく「夢を見ながら歩き回っている」といわれますが、夢遊病は脳が深く眠っているノンレム睡眠のときにおこるものです。夢を見るのはレム睡眠のときなので、夢遊病と夢は関係ないのですね。
また夢遊病の症状が出やすいのは、寝始めてから1~2時間くらい経ったときです。一度目の一番深いノンレム睡眠のときに症状が出やすいということです。症状はそれぞれで、布団から出て歩き回ったり、うつろな目でお喋りしたりする子もいます。
夢遊病と寝ぼけとの違いとは
寝ぼけの場合はそのうち目が覚めてきますので「あれ?どうしてこんなことしたんだろう?」と自分でおかしな行動に気がつくのも特徴です。
夢遊病は深い眠りのノンレム睡眠中におこるので、自分の行動の記憶がないことは前に書いたとおりです。半分寝ているのではなく完全に寝ているのですが、脳の一部が覚醒し体が動いてしまうという睡眠障害であり、寝ぼけとは違うのです。
ほとんどは自然に治まるので様子をみて
ただ、夜中に何回も起きて動き回ったり、一度動き出すとなかなか布団に戻ろうとしなかったりすると、睡眠の質が下がり、別の健康問題が出てくることもあるでしょう。子どもが起きるたびに起きて見守っているママも、睡眠不足になってしまいますね。
症状がひどい場合は、小児科の医師や専門のクリニックに相談しましょう。必要があれば薬で症状を抑えることもできるのです。
子どもに起こりやすい夢遊病の原因
脳が未発達で伝達機能が制御できない
ノンレム睡眠時は脳は深く眠り、活動しないのが通常ですが、子どもの未熟な脳では、ノンレム睡眠であるにもかかわらず脳の一部が覚醒してしまうこともあるというのです。
また別の研究では、ギャバの関与を指摘しています。ギャバは植物や動物の体内に存在する天然アミノ酸で、リラックス効果がある物質です。最近はスポーツ選手の中に、ストレス対策にギャバを積極的に摂取する人もいるそうです。
このギャバを放出する細胞が子どもの脳では未発達のため、十分に放出されず、寝ている間でも脳の一部が起きてしまうのではと考えられているのです。
ストレスや興奮するような体験がもとに
これらのことから、ストレスや興奮も夢遊病の原因になっていると考えられています。原因になるのはストレスという負の精神的負担だけでなく、楽しかったことや嬉しかったことなど、よかったことも原因になりうるのです。
子どもはまだ感情のコントロールがうまくできませんから、いちど興奮すると長く続き、夜寝ていても脳のどこかで興奮が呼び起こされるのでしょうね。
睡眠不足や遺伝が関係している可能性も
夢遊病に関係しているとわかってきているのが「HLA-DBQ1」という分子です。人の体細胞や液体のいたるところに存在し、免疫に関する重要な働きをしています。この分子は遺伝子染色体と同様に、両親から一つずつ受け取って一対になったものを、子どもは受け継ぎます。
普通の遺伝子なら50%の確率で子どもに遺伝されるのですが、HLA-DBQ1は80%くらいの確率で遺伝されます。普通よりも遺伝されやすいものなのです。HLA-DBQ1について研究がすすみ、夢遊病のメカニズムが解明されることに期待したいですね。
睡眠中に歩く子どもへの対処の方法
起こそうとせずにベッドに戻るように促す
放っておいても自分から布団に戻る子が多いそうですが、もし戻らなくても、無理やり連れて行くのは止めましょう。手を強く引っ張られたり、無理やりなにかされたりすると、興奮して暴れることもあるそうなので注意が必要です。できるかぎり自分で布団に戻るように促しましょう。
でも玄関から出ようとしたり、危険な行動をしようとするときは、阻止するために起こす必要があります。電気をつけて明るくしたり、物音で起こすようにして、できるだけ子どもが興奮しにくい方法で起こしましょう。