子育てから見るパリの日常。幼稚園事情やフランス流ママ友付き合いとは
日本へ一時帰国するたびに「パリでの子育てはどんな感じ?」と周りから聞かれることも多く、いつも話題が尽きません。5歳の娘は、現在幼稚園の年長クラスで楽しい幼稚園生活を満喫しています。今回は、パリの公立幼稚園の日常や子どもの習い事、フランス流ママ友やパパ友との付き合い方などについてご紹介します。
パリの公立幼稚園の日常
年少から映画鑑賞、美術館見学などの活動がさかん
パリの映画館では幼児向けの映画も充実しており、幼稚園の課外活動向けの特別上映プログラムもあります。内容は、幼児でも理解しやすいようアニメーションもしくはクレイアートによる芸術作品的な映画などが中心となっています。
映画のほかにも、国立ジョルジュ=ポンピドゥー芸術文化センターへ絵画を見に行ったり、パリ装飾芸術美術館でイスの装飾について学んだりなど、任意同伴した私も楽しめる内容が盛りだくさんでした。
イスの装飾について学んだ際、クラスでグループごとに箱や木板を使ってオリジナルのイスを製作したのもよい思い出です。
親元を離れ、友だちや先生と1週間の農場研修
最初聞いたときには、「まだ小さいのに1週間も離れるの?」と不安に思ったのですが、ほかのフランス人ママたちも不安を感じたようで、ぎりぎりまで参加を渋っていた親もいました。娘は「牛やヤギ、ヒツジの世話をするなんて楽しみ」と、不安より楽しい気持ちが勝っていたようです。
フランスとスイスの国境近くにある農場に滞在し、毎日動物の世話をしたり、チーズやバターを作ったりと、パリではできない貴重な経験をすることができました。研修中は自分で着替えや片づけをしていたせいか、戻ってからは急に自分ひとりでできることが多くなり、娘の成長を感じました。
年長ではギリシャ神話を学習
年長は2クラスあるのですが、クラス合同でギリシャ神話についても学んでいます。神話の本を先生が読み聞かせ、みんなで話を解釈したり、ギリシャ神話にちなんだ歌を覚えたりしています。神話の一場面を再現した大きな絵もみんなで制作中です。
年度末にはギリシャ神話をテーマにした発表会が行われるのですが、神話の一部を園児たちが交互に前に出て暗唱したり、合唱したりするようです。今は毎日リハーサルに励んでいるようなので発表会が楽しみです。
小さなパリジャン、パリジェンヌたちの習い事
子どもが何を習いたいかがポイント
たとえば、壁や高い所によじ登るのが好きな子どもに「ウォールクライミングの教室に見学へ行こうか」と提案し、お試しクラスやスクールバカンス中の短期クラスに子どもを参加させます。その結果、子どもが「習いたい」と言えば習わせ、「やりたくない」と言えば無理に通わせることはしません。
うちの娘はテレビの音楽に合わせて創作ダンスをすることが多かったため、年中からバレエを習っています。「楽しいから来年も続けたい」と言うので、引き続き通う予定です。
人気はバレエやスイミング、空手などの武道
うちの近くにもバレエやヒップホップ、アフリカンダンスを教える教室がいくつかあり、娘の友だちも通っています。近所に、合気道と空手を教えているスポーツ施設もあり、ママ友の子どもはそこで合気道を習う予定だそうです。
ほかにはフェンシングを習っている子もいます。道を歩いていると、白いフェンシング用のユニフォームを着た子どもとすれ違うこともあるのですが、フランス特有の習い事かもしれませんね。郊外に行くと、乗馬を習っている子どもも珍しくありません。
日仏家庭が悩む子どもの日本語学校
私と娘の会話は日本語のみと決めているので、今のところ娘の日本語力は日本で友だちと遊んでも問題ない状態です。しかしこれから漢字や文法も覚えなければなりませんし、学校で教えてもらった方がよいのかなと悩んでいます。
子ども向けの日本語教育をしてくれる日本語学校は、パリ市内にいくつかあるのですが、あまり選択肢がないのが現状です。現地の小学校に通いながら、週に1回日本語学校に通うメリットはあるのか、どの学校の方針が一番納得できるのか、日本人ママ友同士情報交換が欠かせません。
ママ友やパパ友との付き合い方
ママ友との会話は日本もフランスも同じ
年少のころはぎこちなかった会話も、子どもたちが3年間同じ幼稚園で過ごしていると、自然と親同士の距離も縮まります。「今日うちの子、担任に怒られちゃって、どう躾けたらよいのやら」というような話から、「夕飯作るの面倒だな。そちらの今夜のメニューはなに?」といった主婦ならではの話まで様々です。
いつも思うのは、フランスのママも日本のママも、みんな親として考えることは同じということです。会話がフランス語か日本語かの違いだけであって、どちらの国もママは家事と育児に一生懸命であることを感じています。