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イギリス赴任でバイリンガル育児。現地語と母語はどちらが大切?

イギリス赴任でバイリンガル育児。現地語と母語はどちらが大切?

日々の生活に直結する現地語と、日本人としての母語はどちらも必要で大切なものです。この記事では親の都合で突然の外国暮らしを余儀なくされた娘が、この2つの言語をどう身に着けていったか、またはからずも「バイリンガル育児」に直面した私たちが親としてそのバランスをどうとっていったかをご紹介します。

現地語(英語)を習得していく道のり

周囲との関わりで自然に身につく

イギリス生活が始まったとき娘は2歳で、ちょうど言葉のコミュニケーションが活発になっていく時期と重なっていました。もともと言葉が早く、すでに周囲の大人とある程度の意思疎通ができていた娘は突然「自分の言っていることが相手に伝わらない」「相手の言っていることがまったく理解できない」環境に放り込まれ、はじめは戸惑っているようでした。

しかしすぐに周りの大人の真似をして、まずは公園での挨拶を覚えました。

まだ子ども同士の言葉のコミュニケーションは成り立たない年齢でしたが、お友だちのママや体操教室のインストラクター、児童館のスタッフなど身近な大人の話す言葉をどんどん吸収していき渡英半年後には年齢相応の英語でのコミュニケーションも問題がなくなっていました。

学校で徹底した読み書きの訓練

4歳で地元の公立小学校の準備学級(レセプションクラス)に入った娘は、そこで徹底的に読み書きを学びました。まずは発音とつづりの規則性を学ぶフォニックスの学習から入り、その習熟度に合わせた内容で書かれた本を毎日持ち帰って音読の宿題をします。

本の内容はフォニックスの進度とともにレベルアップしていき、初めは単語だけだったものが徐々に章立てされたお話まで読めるようになっていきました。また絵日記の宿題も早いうちから出され、「書く」ことも訓練されました。

周囲との日常的なやり取りで見よう見まねで身に着けた「聞く」「話す」力だけでなく、この「読む」「書く」力を徹底的に訓練したことで、娘の英語力は確かなものになっていきました。

「いまどき」より「正しい」言葉を

年齢が上がるとともにお友だちとのコミュニケーションも活発になり、学校でいろいろな言葉を覚えてきます。あまり目くじらをたてないようにはしていましたが、度が過ぎる場合は「それはふさわしくない」と注意するときもありました。

わざとハリウッド映画のようなアメリカ風の発音をしてみたり、ある特定の地方の方言を真似たり、といったこともありました。「だって〇ちゃんがこう言うのだもの」と唇を尖らせる娘には「外国人である私たちは、まずは先生の話すような正しい言葉を身に着けるのが先」と言い聞かせたものでした。

崩した「いまどき」な言い回しも「正しい」言葉を知っていてこそ、生きてくるものだと娘に理解してほしかったのです。

母語(日本語)を習得していく道のり

家では日本語で話すルール

学校や習いごとで一日の大半を英語で過ごす娘にとって、日本語に触れるチャンスは家の中だけです。宿題をするとき以外は日本語で会話をするルールにしました。

しかし日中、英語で起きた出来事を話すのに逐一日本語に直すのを本人が負担に感じている様子だったため、最終的には「日本語で聞かれたら日本語で答える」「日本語で会話を始めたら最後まで日本語で」とゆるめなルールに落ち着きました。

ときおり日本にいる祖父母とスカイプをするときは、「じいじやばあばには英語が通じない」という思い込みから必死になって日本語を駆使して会話していました。

「日本語で話しなさい」と強制するのではなく「じいじたち英語わからないから日本語で言ってあげて?」とお願いするほうが効果的でした。

ひらがなのおけいこはパパと楽しく

園や学校で英語の読み書きはしっかりやっていましたが、自宅学習でなんとかしなければならなかったのが日本語の読み書きです。これはパパの担当として週末に取り組んでいました。

私は平日に学校の宿題をみていたので英語はママと、日本語はパパと、と役割分担したのもありますが、パパのほうが娘の気分をつかむのに長けていて楽しい雰囲気でがんばれると思ったからです。

日本から送ってもらった、イギリスでは決してお目にかかれないかわいいキャラクターのノートやひらがな練習帳を用意して特別感を盛り上げつつ、少しずつ学習を進めていきました。ここでも祖父母を引き合いに出し「じいじとばあばにお手紙書いたら喜ぶよ」とモチベーションを上げることに心を砕きました。

音の捉え方が違うから「しりとり」ができない?

娘が苦手にしていたのが「しりとり」でした。単純に日本語の語彙が少ないから、だけでなく日本語的な音の捉え方ができなかったからです。

普通は「りんご」ときたら最後の「ご」から始まる言葉を探します。しかし娘は何度教えても「お」から始まる言葉を探すのです。娘の耳には日本語の「ご」ではなく、アルファベットのGとOから成る音に聞こえ、それで最後の音として聞こえるOすなわち「お」から始まる言葉を探してしまうのでした。

「どうしてOじゃないの?」と娘に聞かれましたが、こればかりは英語と日本語の音の捉え方の違いなので、「そういうものだから」と言うしかありません。ずいぶんと長い間、しりとりをする場合は「〇から始まる言葉を探してごらん」という一言が欠かせませんでした。

バイリンガル育児をして実感したこと

言語能力は時間差で伸びる

外では英語、家では日本語としていた我が家でしたが、娘の英語力と日本語力には常に差がある状態でした。英語と日本語の力が同時に伸びるのではなく、どちらかがまず先に伸び、しばらく時間をおいてからもう一方もついてくるのです。

たとえば数字を100まで数えられるようになったのは英語が先でした。日本語ではおぼつかず、「このままだと日本語で数が数えられない子になる!」と先走って焦りましたが、2週間も経たないうちに特にこちらが訓練するまでもなく日本語でも正確に言えるようになったのです。

2つの言語は常に同じ速度やレベルで発達していくわけではないので、見守る側も発達の差に一喜一憂しない心のゆとりが大切だと感じました。
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