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論文が証明する質のよい睡眠とは?子どもの睡眠を見直してみよう

論文が証明する質のよい睡眠とは?子どもの睡眠を見直してみよう

昔から「寝る子は育つ」と耳にしますが、ただの迷信ではなく、しっかりとした根拠はあるのでしょうか?家庭や住宅の事情などもあるから、早寝をするのは無理と思っているパパやママに、子どもの健康的な成長から見た質のよい睡眠を確保する方法をお話ししますね。

質のよい睡眠が健康的な心と体をつくる

睡眠中に成長ホルモンが分泌される

人間の脳の視床下部付近にある、脳下垂体という部位から分泌されている「成長ホルモン」が身長の伸びに深く関わっていることをご存知の方も多いでしょう。心身の発達が目覚ましい成長期の子どもにとって、大きな役割を果たしています。この「成長ホルモン」は生活習慣の中でコントロールできるのです。

子どもの成長に必要不可欠なものとして挙げられるのが、運動、食事、そして睡眠です。午後10時から午前2時の時間はゴールデンタイム、シンデレラタイムとよくいわれています。この時間帯は、成長はもちろんのこと、美容や健康、あらゆる成長ホルモンの分泌が最高潮になる時間帯です。

この貴重な時間帯に質のよい睡眠を得たいものです。上手に眠ることができるよう、サポートしてあげてくださいね。

脳の発達も睡眠が関係している

膨大な数の神経細胞が働き、情報処理、思考を行っている人間の脳ですが、特に子どもは大脳が活動して、学習や運動を行っています。子どもの睡眠は疲れをとるためだけのものではなく、脳(特に大脳)を休ませる役割があります。

睡眠には「レム睡眠」「ノンレム睡眠」があり「レム睡眠」は夢を見ながら体の点検をしている睡眠「ノンレム睡眠」はぐっすり眠って頭の休息をする睡眠です。大脳を休ませるにはこの「ノンレム睡眠」が大切です。「ノンレム睡眠」は午後10時前に就寝すると多く分泌します。

睡眠時間が多い子どもと少ない子どもとでは、脳内で記憶を司る「海馬」の体積が異なってくるという結果報告があります。子どもの学習意欲や集中力の向上は、睡眠の質やリズムが大切なのですね。

理想の睡眠時間は年齢によって違う

子どもの平均睡眠時間は1970年では9時間23分、2000年では8時間43分となっており、30年の間に40分も短くなっています。1歳の平均睡眠時間は9.6時間、3歳は9.8時間で、世界16か国と比べても、日本の0~3歳は最も短いという結果が報告されています。

先ほどもお話ししました「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」ですが、大人は約90分の間に1回ずつやってきて、それを4~5回繰り返して目を覚まします。新生児は40~60分、3~4歳は60~80分、5~10歳は大人と同じ周期の90分となります。

子どもの理想平均睡眠時間は0~3カ月で14~17時間、4~11カ月で12~15時間、1~2歳で11~14時間、3~5歳で10~13時間といわれています。

もし睡眠の質が低下するとどうなるの?

肥満になりやすい傾向

子どものころの短時間睡眠は、成長ホルモンが盛んに分泌されるノンレム睡眠の時間が少なくなるため、脳や体の発育に悪影響を及ぼすと考えられているのと同時に、その後の肥満のリスク因子であると報告されています。

3歳児での肥満者を除いた追跡調査をしたところ、3歳児に11時間以上の睡眠をとっていた子どもが中学1年生になるときまでに肥満になる確率は12.2%、9時間台の子どもは15.1%、9時間未満の子どもは20.0%となり、睡眠時間が少なくなるほど肥満の発生率が高くなっています。

幼児期のころからのよい睡眠習慣が、肥満をはじめとする生活習慣病予防にも大切だということが明らかになってきています。子どもに夜更かしさせないようにするのも、親の務めですね。

落ち着きがなくてイライラしやすくなる

睡眠時間が短いと朝起きるのがつらいですよね。起きてもボーっとした状態なので運動をするといった行動も起こしにくくなります。運動が不足すると、セロトニン系神経の働きが弱くなるのです。

セロトニンとは、脳内の情報伝達に関わる物質(神経伝達物質)であり、脳内の広い範囲に分布しています。ラットを使った実験では、セロトニンが不足すると攻撃的行動が増えることがわかっています。このセロトニン系神経を活発にさせるには、リズミカルな筋肉運動(歩くこと、咀嚼すること、呼吸運動など)と朝日を浴びるのがよいとされています。

夜更かしして朝起きられずに、朝日を浴びることなくボーっとしていれば、セロトニン系神経の働きが弱くなりイライラの原因になるのですね。

子どもでも頭痛や肩こりになることも

大人ばかりでなく子どもでも頭痛や肩こりになることがあります。頭痛は様々な原因が考えられますが、肩こりからくる頭痛もあります。

元来子どもは筋肉疲労の回復が早いため、一時的に悪い姿勢をとっていても、そのあと体を動かすことで筋肉の緊張がほぐれていくものです。しかし長時間同じ姿勢でいることで、回復できずに疲労ばかりが蓄積され、緊張状態が続いてしまいます。これらが原因となって体のバランスを崩し、肩こりになるといわれています。

肩こりの痛みに耐え、疲れているのに痛みや筋肉の緊張のために興奮状態となっている体は、穏やかな眠りを得ることができなくなるため、睡眠不足になります。常に緊張した状態の子どもは、情緒不安定になってしまうので注意が必要です。

質のよい睡眠をとるためにできること

寝る時間が遅くなる原因を考える

寝る時間が遅くなる原因には、住宅、家庭事情に加えて、子どもが興味を示すようなテレビ番組が夜遅くまであることや、24時間営業のお店があることなど、昼夜の区別がつきにくい生活環境が挙げられます。

また、携帯電話やスマートフォン(スマホ)、テレビ、パソコンなどの機器も眠りを妨げる原因となっています。これらから出ている波長は、メラトニンというホルモンに影響を及ぼすため、興奮して眠れなくなってしまうことがあります。寝かしつけにスマホを使っているようでしたら、早い時間に切り上げましょう。

部屋の温度は適温ですか?布団は季節に合っていますか?ご飯は残さずきちんと食べましたか?など、子どもが気持ちよく眠りにつける状態かどうかもチェックしてみてください。
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