論文が証明する質のよい睡眠とは?子どもの睡眠を見直してみよう
昔から「寝る子は育つ」と耳にしますが、ただの迷信ではなく、しっかりとした根拠はあるのでしょうか?家庭や住宅の事情などもあるから、早寝をするのは無理と思っているパパやママに、子どもの健康的な成長から見た質のよい睡眠を確保する方法をお話ししますね。
質のよい睡眠が健康的な心と体をつくる
睡眠中に成長ホルモンが分泌される
子どもの成長に必要不可欠なものとして挙げられるのが、運動、食事、そして睡眠です。午後10時から午前2時の時間はゴールデンタイム、シンデレラタイムとよくいわれています。この時間帯は、成長はもちろんのこと、美容や健康、あらゆる成長ホルモンの分泌が最高潮になる時間帯です。
この貴重な時間帯に質のよい睡眠を得たいものです。上手に眠ることができるよう、サポートしてあげてくださいね。
脳の発達も睡眠が関係している
睡眠には「レム睡眠」「ノンレム睡眠」があり「レム睡眠」は夢を見ながら体の点検をしている睡眠「ノンレム睡眠」はぐっすり眠って頭の休息をする睡眠です。大脳を休ませるにはこの「ノンレム睡眠」が大切です。「ノンレム睡眠」は午後10時前に就寝すると多く分泌します。
睡眠時間が多い子どもと少ない子どもとでは、脳内で記憶を司る「海馬」の体積が異なってくるという結果報告があります。子どもの学習意欲や集中力の向上は、睡眠の質やリズムが大切なのですね。
理想の睡眠時間は年齢によって違う
先ほどもお話ししました「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」ですが、大人は約90分の間に1回ずつやってきて、それを4~5回繰り返して目を覚まします。新生児は40~60分、3~4歳は60~80分、5~10歳は大人と同じ周期の90分となります。
子どもの理想平均睡眠時間は0~3カ月で14~17時間、4~11カ月で12~15時間、1~2歳で11~14時間、3~5歳で10~13時間といわれています。
もし睡眠の質が低下するとどうなるの?
肥満になりやすい傾向
3歳児での肥満者を除いた追跡調査をしたところ、3歳児に11時間以上の睡眠をとっていた子どもが中学1年生になるときまでに肥満になる確率は12.2%、9時間台の子どもは15.1%、9時間未満の子どもは20.0%となり、睡眠時間が少なくなるほど肥満の発生率が高くなっています。
幼児期のころからのよい睡眠習慣が、肥満をはじめとする生活習慣病予防にも大切だということが明らかになってきています。子どもに夜更かしさせないようにするのも、親の務めですね。
落ち着きがなくてイライラしやすくなる
セロトニンとは、脳内の情報伝達に関わる物質(神経伝達物質)であり、脳内の広い範囲に分布しています。ラットを使った実験では、セロトニンが不足すると攻撃的行動が増えることがわかっています。このセロトニン系神経を活発にさせるには、リズミカルな筋肉運動(歩くこと、咀嚼すること、呼吸運動など)と朝日を浴びるのがよいとされています。
夜更かしして朝起きられずに、朝日を浴びることなくボーっとしていれば、セロトニン系神経の働きが弱くなりイライラの原因になるのですね。
子どもでも頭痛や肩こりになることも
元来子どもは筋肉疲労の回復が早いため、一時的に悪い姿勢をとっていても、そのあと体を動かすことで筋肉の緊張がほぐれていくものです。しかし長時間同じ姿勢でいることで、回復できずに疲労ばかりが蓄積され、緊張状態が続いてしまいます。これらが原因となって体のバランスを崩し、肩こりになるといわれています。
肩こりの痛みに耐え、疲れているのに痛みや筋肉の緊張のために興奮状態となっている体は、穏やかな眠りを得ることができなくなるため、睡眠不足になります。常に緊張した状態の子どもは、情緒不安定になってしまうので注意が必要です。
質のよい睡眠をとるためにできること
寝る時間が遅くなる原因を考える
また、携帯電話やスマートフォン(スマホ)、テレビ、パソコンなどの機器も眠りを妨げる原因となっています。これらから出ている波長は、メラトニンというホルモンに影響を及ぼすため、興奮して眠れなくなってしまうことがあります。寝かしつけにスマホを使っているようでしたら、早い時間に切り上げましょう。
部屋の温度は適温ですか?布団は季節に合っていますか?ご飯は残さずきちんと食べましたか?など、子どもが気持ちよく眠りにつける状態かどうかもチェックしてみてください。