車内への子どもの置き忘れは危険!子どもの命を守るための予防策
車内に残された子どもが命の危険にさらされる事故を耳にします。意図的に子どもを置き去りにする親もいますが、どうやらうっかり置き忘れる親もいるようです。どうしてこんなことが起きてしまうのでしょうか?今回は子どもの命を守るために、車内へ置き去りにする背景と予防策についてご紹介します。
車内に子どもを置いたままにするのは危険!
夏の車内放置はエアコンを点けていても厳禁
70℃という温度は、熱中症の危険レベルをはるかに超えています。大人でさえその中に5分いると脱水状態になり、まして体温調整が未発達な子どもでは命が危険にさらされるレベルになってしまいます。
熱中症を予防するため、エアコンで室内環境を整えてから子どもを残して車を離れるママやパパもいるようですが、これももちろん危険な行為です。子どもの座るチャイルドシートは包みこむ形で熱がこもりやすく、また眠ると体温が高くなるため汗をかいて脱水症状を起こす危険があるのです。
秋でも直射日光の当たる車内は高温
しかしさわやかな秋の気候でも、炎天下に車を置いておくと室温はぐんぐん上昇して50℃になってしまい、また曇りの日でも40℃以上に達することがあります。さらに日光の熱を吸収しやすいダッシュボードでは、65℃の高温まで上がってしまうことがあるのです。
このような気温の車内では、やはり熱中症指数は危険レベルになってしまいます。短時間でも子どもを残して離れるのは、やはり危険な行為なのです。
意図的に子どもを置き去りにする親の事情
例えば、障がいのある子どもを育てているママは「障がいのため、車に乗せたりおろしたりするのが大変。短時間で済む買い物なら、エアコンをつけて車内で待たせることがある」と訴えます。
また、39.9℃の熱を出した子どもを病院へ連れて行ったママは「病院の帰りに必要なものを買いにドラックストアに寄った。ぐったりと眠る子どもを起こすのがかわいそうで、数分だけ車で待たせた」と口にしました。
このようにママたちも様々な事情を抱えていて、仕方なく置き去りにすることがあるようです。しかし最悪の事態は常に考えておく必要はあると思います。
車内に子どもを置き忘れてしまうのはなぜ?
他人ごとではない「うっかり置き忘れ」
サウスフロリダ大学の心理学者の研究では、「うっかり置き忘れ」を起こしてしまう人の特徴は教育や性別、年齢の違いで区別できないのだそうです。つまり、誰にでも「うっかり置き忘れ」をする可能性があるのです。
おそろしいのが「誰でもおこす可能性がある」と警報を鳴らしても、「自分は大丈夫」と思い込む人が多いことです。大切なのは、どんな人にも起こりえる現象であることを自覚して、行動することなのです。
脳のメカニズムとの関係
例えば、同じ道をいつもの車で通勤する記憶は習慣的記憶です。いつもは1人で乗る車内に子どもがいて(新しい情報)、通勤途中に保育園に寄る(ルートの変更)ことは、展望的記憶になります。この二つの記憶のうち習慣的記憶の方が優位に働くそうで、例えば保育園に寄るのを忘れていつもの道をうっかり進んでしまうのがこの働きです。
しかしストレスや寝不足が続くと、このメカニズムが乱れてしまいます。「うっかり置き去り」はこうした脳のメカニズムが関係していると考えられています。
両親の勘違いや思い込みによる未確認
ある町に夫婦と2人の子どもが住んでいました。3月のある朝、ママが「子どもたちを車で保育園に連れて行って」とパパに頼みます。そこでパパは自宅駐車場にある車に長男をのせ、そのあと長女はママが車に乗せました。これが勘違いのきっかけになったのです。
パパは「最後に子どもを乗せたママが連れて行ったのだろう」と思い込み、ママは「パパが連れて行ってくれる」と思いこみました。そして勘違いをしたまま確認もせず、お互いに外出してしまいました。
子どもたちはその後、5時間近く駐車場で放置され死亡してしまいました。熱中症が原因ではないか、といわれています。
車内への置き忘れや置き去りを防ぐために
ぬいぐるみや子どもの存在に気付く目印を
チャイルドシートが空のときに、大きめのぬいぐるみを置くようにします。子どもが乗るときにはそのぬいぐるみを助手席に座らせれば、チャイルドシートに子どもが乗っていることを思い出すきっかけにすることができます。
またチャイルドシートを設置している後部座席に、大切な荷物を目印として置くことも有効です。目印は、仕事で必要な社員証や携帯電話やパソコン、また日常的に持ち歩く必要がある財布やかばんなどです。車を降りるときにはこれらの荷物をとるために後部座席に目を向けるため、忘れず子どもに気付くことができます。