家の中のカビ対策には何が有効?カビの基礎知識から注意点まで
下駄箱の奥にしまっていた革製のブーツ、パンや浴室など生えているカビは、見た目やにおいが不快なだけではなく、病気の原因になるといわれています。どうすれば生えてしまったカビを除去したり、生えないよう防いだりできるのでしょうか。今回は、カビの基礎知識から注意点までご紹介します。
カビの基本について知っておこう
そもそもカビってどんなもの?
カビは現在から30数億年もの昔から地球上に存在していたといわれる菌類の一種で、植物のように発芽して胞子をまき散らして増えるのが特徴です。花粉と同じように空気中を漂っています。
胞子は腐った植物などにくっついて栄養分を分解しながら成長します。分解された栄養分は窒素やリンなどになって土の養分となるため、自然のサイクルには欠かせない存在といえるでしょう。
とはいえ、どこにでも生えてしまうのは困りものです。生えてほしくない場所には生えないよう対策できるとよいですね。
カビの種類と発生しやすい条件
黒カビは湿度が90%以上の環境に発生しやすく、浴室や衣類に残った皮脂、紙、食品など幅広い場所に生えます。餅やみかんに生えることが多い青カビ、パンや穀類に生えるコウジカビは湿度80%以上の環境を好むようです。
湿度65%以上の環境を好むカビとしてはカワキコウジカビや小豆色カビなどがいます。
黄橙色のカワキコウジカビはコウジカビ同様、穀類や乾物に生えるほか、カメラのフィルムや精密機器にも生えることがあるようですよ。小豆色カビはチョコレートや干し柿、ようかんなど、糖分が多い食品に好んで生えます。
カビの発生しやすい時期や場所
また、動物や植物と同じように、カビも栄養がなければ生きていくことができません。種類によって好む栄養に違いはありますが、人の垢や髪の毛、ホコリ、食べ物のカスといった汚れを特に好みます。
さらに、カビの多くは0~40℃で生育可能で、特に20~30℃でよく成長するようです。
これらのことから、カビは人間が過ごしやすい環境のなかでも湿度が高い場所に発生しやすく、高温多湿の梅雨や、湿気と熱気がこもりやすい浴室や洗濯槽のなか、戸棚の裏などに発生しやすいといえるでしょう。
子どもの健康のために!カビ予防のコツ
掃除でカビの栄養分を取り除いてしまおう
カビはプラスチックや塗料など、なんでもエサにしてしまいますが、特に好むのが食品のカスやホコリ、人の垢などです。浴室やキッチンのほか、食事用テーブルの下などは特に掃除をこまめに行い、清潔な状態を保つようにしましょう。
また、汗かきな赤ちゃんの衣類やシーツ、ベビーベッドに置いたマットレスなどは、皮脂などの汚れがつくだけではなく、汗による湿気や体温でカビに適した環境となるため注意が必要です。
カビが発生・成長しにくい環境を作るとカビが生えにくくなるだけではなく胞子も減らすことができますよ。
湿度と温度をコントロールしてカビ予防
とはいえ、カビが好む温度は人間にとっても快適な温度です。カビを抑制するために室温を20℃以下にすると風邪をひくかもしれないので、温度調節は難しいかもしれません。
湿度は温度に比べて人間の体に対する影響が少なく、除湿機などの利用で簡単に行うことができます。湿度が低ければ発生しにくいので、湿度をメインに調節するとよいでしょう。
ただし、乾燥しすぎるとウイルスが活性化しやすいため注意が必要です。湿度50~60%程度を目安にするとよいでしょう。
換気や通気性の改善もカビ予防に有効
調理や洗い物をすると水蒸発で湿度が高くなります。エサになる油汚れなどで発生しやすいので、換気扇を使って湿度を下げるようにくださいね。
また、洗濯槽に衣類を入れっぱなしにしたり、蓋を閉めたままにしたりするとカビが生えやすくなるので注意しましょう。洗濯物を部屋干しするときは除湿機を使うと湿度が上がりすぎないうえ、衣類が早く乾きます。
クローゼットや下駄箱、部屋の換気は湿度の低い日が最適です。除湿剤などを使って対策するのもよいですね。
カビ掃除をする場合に気をつけること
掃除でカビ胞子を飛散させない
また、掃除機で吸おうとして排気が当たると、排気の風で胞子が部屋中にまき散らされるので注意が必要です。
飛散している胞子を吸い込むとアトピーや喘息などの原因になるほか、肺のなかでカビが繁殖する病気にかかることがあります。また、皮膚に付着した場合は水虫などの皮膚病を招きかねません。
健康な大人は少量のカビでは問題ないかもしれませんが、小さな子どもや赤ちゃんは抵抗力が弱く健康被害を受けやすいので、胞子を飛散させないようにしましょう。