上の子がおもちゃを独り占め!貸せない子どもの気持ちや対処法
下の子が「おもちゃを貸して」と泣いているのに、上の子が「いやだ」と独り占めしたため、つい叱ってしまったという経験はありませんか?じつは上の子は意地悪で貸さないのではなくて理由があるようです。今回は上の子がおもちゃを貸せないときの対処法や貸せるようになるための接し方についてご紹介します。
おもちゃを貸せない上の子の気持ちとは?
たくさんあっても全部がお気に入りで大切
大切な宝物であるおもちゃは一つだけとは限りません。複数のおもちゃを持っていれば「全部がお気に入りで全部が大切なおもちゃ」ということも。大切なものを奪われないために、「貸さない」と言ってしまうのですね。
大人には理解が難しいため、複数のおもちゃで遊んでいる上の子を見るとつい「一つくらい下の子に貸してあげたら?」と言いたくなります。ところが子どもにとってはすべて同じくらい大切なおもちゃなので、どのおもちゃも下の子だけでなく、ほかの子に貸すことを嫌がってしまうようです。
自分のおもちゃが壊されるのでは?と不安
できあがった作品を壊された経験はトラウマになりますね。下の子は悪気がないのですが、上の子は「また壊されるかも」と学習してしまうようです。
不安を感じた結果、上の子は自分の大切なおもちゃを守るための行動に出ます。ブロックや積み木だけでなく、簡単に壊れないようなおもちゃも、大切なものはすべて下の子に貸さなくなってしまうようです。
ちょっかいを出されずゆっくり遊びたいだけ
このときの上の子の気持ちを、ママは自分に置き換えて考えてみてください。例えば「早く夕飯を作らないと!」と急いで料理をしているとき、子どもがずっと「ママ!ママ!遊んで!!」と足元をうろちょろしていたら「ひとりで集中させて!」と言ってしまいたくなりませんか?
上の子も同じで、お気に入りのおもちゃでひとり遊びをしているときに下の子がちょっかいを出してくれば、「ゆっくり遊ばせて!」と、下の子を泣かせるような態度をとってしまうのかもしれません。
上の子がおもちゃを貸せないときの対処法
貸せない気持ちを否定せずに寄り添おう
とくに3歳までの子どもは、自分の気持ちが守られることで人の気持ちがわかるようになるといわれています。貸せないことを否定するのではなく、「貸せない気持ち」に寄り添ってあげてください。
それでも大人はつい、理屈でわからせようとしてしまいます。理屈を押しとおすと、子どもは自分の気持ちを伝えることができなくなってしまうので注意してください。
「貸して」と言われたとき「いいよ」と答えることも大切ですが、「大切だからだめ」と自分の気持ちを伝えることも幼児期には大切なことのようです。
優しい心を呼び起こす声かけをしよう
上の子がおもちゃを貸してくれないときは、子どもの優しい心を呼び起こすような声かけを心がけてください。そうすることで「意地悪だね」と非難をするよりも効果的に子どもの心を刺激することができます。
例えば上の子がおもちゃを貸さないときは、上の子に聞こえるように下の子に「◯◯(下の子)もおもちゃを貸したくないときがあるよね。ほかので遊んでいよう。お兄ちゃんは優しいから、遊び終わったらきっと貸してくれるよ」と言ってみてください。上の子は自分の長所を認めてもらった気持ちになり、期待に応えたくなるようです。
貸すか貸さないか子ども自身に決めさせよう
実験では3~5歳の子どもたちを三つのグループに分け、それぞれ自分の持ち物を、
1.友だちにあげるかあげないか自分で決める
2.友だちにあげるか手放すかを自分で決める
3.友だちに渡す
の三つに分けて指示しました。
そのあと、今度は別の友だちに自分の持ち物をあげるよう指示したところ、
1.ほとんどの子があげた
2.3.あげない子が多かった
という結果になりました。
グループ1だけは自分の手元に残すという選択肢がありますね。より難しい決断をしたことで「友だちにあげられた」自分を認め、向社会性が芽生えると考えられています。