共働き夫婦の子どもはどっちの扶養に入る?税金や控除も理解しよう
共働き夫婦の場合、子どもの扶養をどうしようか悩む方は少なくありませんよね。そこで今回は知っているようで知らなかった扶養の意味や、扶養の裏ワザ、パパとママのどちらの扶養にいれる方がよいのかなどについて、わかりやすくご紹介していきたいと思います。
知っているようで知らなかった扶養って?
扶養は「税」と「保険」の2種類がある
「税」の扶養とは所得税法上の扶養を指します。扶養者の所得税の負担を軽減すること(=扶養控除)を目的としています。
一方、「保険」の扶養とは、健康保険上の扶養を指します。扶養に入った家族は保険料を負担せずに、保険給付を受けることができます。
ただし、一緒に住んでいれば必ずしも扶養に入れるわけではありません。いずれの扶養についても、決められた一定の条件を満たしていなければなりません。そのため、扶養にいれたいときは、まず条件を満たしているかどうか確認をしてみましょう。
健康保険の扶養にいれる条件
まずは「扶養の範囲」についてですが、以下のような条件が定められています。
・被保険者の配偶者や直系尊属(父母、祖父母など)、子、孫、兄弟姉妹であり、被保険者の収入で生計を立てている人
・被保険者と同じ世帯に住んでいる上記以外の3親等内の親族
また、「収入」については、年間の収入が130万円未満、60歳以上の場合は180万円未満であることが条件として定められています。さらに、被保険者と同居している場合は年間の収入が被保険者の半分未満、別居している場合は年間の収入が被保険者からの仕送り額未満であることも条件となっています。
税金の扶養にいれる条件
まずは「扶養の範囲」についてですが、以下のような条件が定められています。
・扶養者と生計を一にしている配偶者や親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)、里子など
・年齢が16歳以上であること
健康保険の扶養の範囲とは違い、年齢が条件に入ってきています。また、同じ世帯に住んでいるかどうかではなく、扶養者の収入で生計を立てているかどうかが条件となっているため、混同しないよう注意しましょう。
「収入」については、年間の収入が103万円以下であることが条件として定められています。雇用保険の給付金については収入の中に入らないため、気を付けてくださいね。
共働きの場合どっちの扶養にいれる?
扶養控除がないのでどちらにいれても一緒
というのも、先ほど税金の扶養の範囲について、「年齢が16歳以上であること」とご紹介しました。実は、16歳未満の子どもには児童手当(子ども手当)が給付されるようになったため、扶養控除の対象とならないのです。
ただし、パパとママが別々の会社に勤めている場合、健康保険の扶養の内容や勤務先独自の制度について、少し条件が異なる可能性があります。そのため、より内容が充実している方の扶養にいれることをおすすめします。
会社の制度で扶養手当があるか確認しよう
というのも、子どもがいる社員は、子どもがいない社員と比べ、生活費の負担が大きいですよね。そんな社員に対し、安心して仕事に打ち込めるよう、生活費を補助することを目的として支給されているのです。
ただし、法的な効力を持っていないことや、子どもがいない社員との公平性に欠けるといった意見があることから、扶養手当がない会社も多くあります。そのため、勤務先に扶養手当があるかどうか、金額はいくらなのか、支給の条件はあるのかなど、あらかじめ会社に確認しておきましょう。
保険と税の扶養は別々でも大丈夫
結論からいうと、保険と税の扶養はパパとママ、別々でもなんら問題はありません。
というのも、保険と税の扶養はまったく別の制度であり、所轄も税金は財務省、保険は厚生労働省と異なっています。また、先ほどご紹介した扶養にいれる条件のなかにも、扶養者が同一である旨のものはありません。
そのため、保険の扶養については予防接種の費用を負担してくれるなど、内容が充実している方の扶養に、税の扶養についてはより節約できる方の扶養にいれることをおすすめします。
扶養の異動で節約ができる?裏ワザもご紹介
住民税を節税するなら収入の少ない方が得
というのも、住民税は所得によって税額が変わる「所得割部分」と、納税者全員が同じ税額である「均等割部分」に分けることができます。この所得割部分は、所得が「35万円×(1+扶養人数)+32万円」までの場合非課税になり、扶養人数には16歳未満の子どもも含まれるのです。
具体的には、子ども1人を扶養にいれると所得が102万円(年間収入170万円)まで、2人を扶養にいれると所得が137万円(年間収入221万円)までの場合に非課税になります。
そのため、収入が少ない方の扶養にいれると、住民税を節税できる可能性があります。