幼児教育無償化とは?これだけは押さえておきたい知識を徹底解説
施設別の保育費用助成金について
公立と私立幼稚園でのケース
この金額は、「公定価格」を基に算出されました。公定価格とは、内閣総理大臣が定める基準により算定した費用の額のことです。認定の区分・保育必要量・施設の所在する地域などを組み合わせて算出されるものを、さらに通常要する費用の額を組み合わせて決定されています。
公立幼稚園の保育料は、助成金の範囲内で収まる金額だと思いますが、一部の私立幼稚園では保育料が助成金の額を超える金額のところもあります。その場合、助成金額を超えた部分は自己負担となります。また、入園金や冷暖房費、学用品代などは対象外となります。
認可保育園でのケース
上記の「所得制限ってあるの?」でも少し触れていますが、幼児教育無償化が実施されると、0歳児~2歳児については、住民税非課税世帯もしくは生活保護を受けている世帯のみ、保育料が無償化されます。
3歳児~5歳児については、現在は生活保護を受けている世帯のみ保育料が無料ですが、世帯収入に関係なく、全ての子どもが無償化の対象となります。公立や私立の幼稚園と異なり、月額の上限額などは設定されません。なので自己負担もありません。公立や私立の幼稚園より助成される金額は多くなることになります。
認可外保育施設でのケース
そのため、認可保育園の全国平均保育料である、月額35,000円を上限に助成金が支給される予定です。
認可外保育施設に関しては、まだ結論が出ておらず、2018年夏をめどに、対象とする保育施設や助成額を有識者会議で決定する予定となっています。上限額が設定された場合、超えた金額は自己負担となります。
待機児童問題対策の環境整備について
保育施設の確保や拡充
・賃料の高騰により、賃借料加算の公定価格と実際の賃料に大きな差がある場合、差額の一部を支給する
・容積率緩和の特例措置を利用して建設される大規模マンションに、保育施設を確保するよう要請する
・国有地、都市公園、学校などの空き教室を利用する
・小規模保育事業の対象年齢を、0歳~5歳に広げる
・幼稚園から認定こども園へ移行をするときに、2歳~5歳を対象とし、2歳児の受け入れ促進を図る
・企業型保育事業の従業員枠に空きが出たとき、地域枠の50%を超えて地域枠対象者の受け入れを可能とする
などがあります。
保育士の給料や労働条件の改善
・保育園に勤務している職員の給料を2%(月額6,000円程度)アップする
・経験年数がおおむね7年以上で、副主任や専門リーダーなどに対し月40,000円、年数がおおむね3年以上で、職務分野別リーダーに対し月5,000円の追加的な給料アップをする
・研修機会確保のため、代替職員の配置費用を拡大する
・保育に関する計画や記録、保護者との連絡、登降園管理、勤務シフト作成などの業務のICT化をおこなうための費用補助
など、主に保育士の給料をアップする対策が挙げられています。また、自治体独自の対策として補助金が支給されたり、家賃補助などが実施されています。
保育士の人材不足解消
都道府県に設置されている、保育士・保育園支援センターで、保育士のマッチングが行われていますが、支援体制が拡充されます。また、再就職の促進のため、就職準備金の積極的な活用が働きかけられています。
保育士の勤務環境の改善に取り組む事業者には、保育補助者雇用のための資金の拡充などもあげられています。保育補助者を育成することで、保育士の業務負担の軽減もあげられています。
幼児教育無償化のメリットとデメリット
幼児教育無償化のメリット
また、「子育てにはお金がかかる」という理由で、複数人の子どもをもつことを諦めている家庭もたくさんあります。経済的な負担が減ることで、「もう1人子どもをもとうかな」と考える家庭が増えると予想がされています。つまり、出生率があがり、少子化対策になるということです。
経済的な問題から、幼稚園に通わすことができないという家庭もあります。幼稚園に通う年齢は子ども同士が関わり合い、社会性や協調性を身につける、子どもにとってとても大切な時期です。無償化になることで、幼稚園に通うことができ、全てのこどもに平等な教育の機会があたえられることになります。
また、「良質な幼児教育は犯罪の減少や将来の所得の増大につながる」という国際的な研究報告もあるようです。
幼児教育無償化のデメリット
2つ目として、幼稚園や保育園の保育施設や、幼稚園教諭・保育士の人材が不足していることです。施設の確保や拡充・労働条件の改善や人材確保についていろいろと対策がされていますが、まだまだ十分な数が確保できているとはいえません。幼児教育無償化の開始までに対策が間に合うのかという心配の声もたくさん出ています。
3つ目に、保育園に預けて働きたいと思う人が増えると同時に、認可外保育園は完全な無償化ではないため、認可保育園に預けたいと思う人が今以上に増え、待機児童がさらに増えることが懸念されている点です。幼児教育無償化よりも、待機児童の解消をまず対策するべきなのではないかという意見もたくさんあがっています。