ネグレクトについて知ろう。他人ごとではない実態と起こる原因
衣食を放棄する一般的ネグレクト
- 食事を与えない
- おむつを替えない
- 服を洗濯しない、着替えさせない
- 体が汚れたままにする(入浴させない)
また、親としては子どもを放置しているつもりはなくても、結果としてそのようになってしまうということもあります。原因は主に貧困のため子どもの世話が行き届かないことにあります。これを「消極的ネグレクト」と呼びます。
反対に子どもを傷つけるためわざと行う場合は「積極的ネグレクト」と呼びます。
病院などに連れて行かない医療的ネグレクト
病院に連れていくなどの対処をしていれば助かっていたはずの命も、放置されたことでなくしてしまうといったことが実際に起きているのです。
また、ネグレクトを受けている子どもの特徴の一つとして、むし歯が治療されずに放置されているということがあります。歯医者に連れて行ってもらえないので、むし歯を悪化させるばかりか痛みまでともなうので、子どもにとってはとてもつらいことですよね。
現在、保健センターなどで行っている幼児の検診ではむし歯の有無も検査していて、あまりに子どもにむし歯がひどい場合は相談所などの機関から連絡が来るようになっています。
子どもの要求に無関心な情緒的ネグレクト
子どもにも当たり前に自分の意志や気持ちがあるのですが、それを認められない親がこういった行為をしてしまいがちです。子どもを一人の人間として見ようとせず、都合のいいようコントロールしようとします。
上記二つのネグレクトとは対照的に、子どもの身体にネグレクトの特徴が現れず、親も自覚がない状態でしていることもあるため被害が気づかれにくいという点があります。
こういった情緒的ネグレクトを受けた子どもは、気づかないうちに精神的に追いつめられ成長していき、成人後もアダルトチルドレンや愛着障害などで苦しむことになってしまうのです。
ネグレクトに対する向き合い方とは
ネグレクトは他人ごとではなく身近なこと
「ネグレクト」は、加害者である親も被害者である子どもでさえも「虐待をしている、されている」という自覚がないことが特徴の一つです。周囲からも「ちょっと変わっている親子」ほどの認識しかないということもあります。
また、貧困やシングルなどの理由で、親に余裕がないために子どもの世話がおざなりとなってしまうような、親に悪意がないネグレクトも存在するため、事件となるような「虐待」でなくても実際にネグレクトは身近にあるものなのです。
自分はならないとは限らないこと
子どもがかわいい、大事ということはもちろんなのですが、いつまでも泣かれてしまったり際限なくわがままをいわれてしまうと、どんな親でも腹が立つのは当たり前にあることです。ただ、ここで「ある一線」を超えてしまった親が、事件を起こしてしまうのではないかと思います。
まともな親と、そうでない親の差は紙一重だとよく耳にします。自分にもこのような事件を起こしてしまう危険性があるかもしれないということは心に留めておきましょう。
誰でもいいから身近な人に助けを求めること
逆に、助けを求められる人がいると、こうした虐待を未然に防ぐことができます。みなさんには、何かがあったときにすぐ相談できる相手がいますか?
夫、両親、兄弟など一番身近な肉親はもちろん、家族ではない人でも大丈夫です。
産院の助産師さんや先生、地域の民生委員や相談員、子育て支援センターのスタッフ、児童相談所の職員など、子育てに行き詰まった親に寄り添い支援をしてくれる人たちは大勢います。
自分は決して一人ではない、ということを覚えていてくださいね。
ネグレクトから子どもを救うための考え方
すべてのことを完璧にしようと思わないこと
いつもニコニコして決して怒らず、毎日きれいな部屋でおいしい料理を作って子どものしつけも完璧で…と思い描いてはいるものの、現実の育児はそう甘くはありません。ほとんどうまくいかないと思った方がよいでしょう。
こんなときに「できないのは私がだめだから?子どもがだめだから?」と自分を追いつめてしまったり子どもを責めてしまったりすることはよいことではありません。
できなくて当たり前、このぐらい大丈夫といったおおらかな気持ちで生活するようにしましょう。