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ネグレクトについて知ろう。他人ごとではない実態と起こる原因

ネグレクトについて知ろう。他人ごとではない実態と起こる原因

ひとり親家庭である場合

ひとり親家庭の場合も、「貧困」の問題が大きく関わってくることがあります。

離婚や死別など、親がシングルになってしまう原因は様々だと思います。問題は、シングルになったために金銭的、精神的に親に余裕がなくなってしまうことです。

片親になると、まず収入が減少し不安定になります。そして、それを補うために仕事を増やさなくてはならなくなります。すると、子どもと過ごす時間が少なくなってしまい、日常の世話が行き届かなくなってしまうのです。

さらに、精神的につらくなった親が現実逃避をしてしまう場合もあります。親自身が自暴自棄になってしまったり、寂しさから新たに恋人や別の家庭を作ったりして、子どもを放置してしまうこともあるそうです。

子どもに対して愛情不足

子どもに愛情を持てないという状況は、貧困や片親家庭だけではなく、夫婦そろっていて収入がきちんとある家庭でも起こりうることです。親の気持ちが子どもに向かず「愛情不足」の状態でいることが、ネグレクトの要因にもなるのです。

親が子どもに対して愛情不足の状態だと、日常の世話を怠るほか、無視をしたり甘えさせなかったりして精神的ダメージを与えるようなことをするようになります。

自分が親に「愛されていない」と感じる子どもは、そのダメージがストレスとなって健全な発育を害してしまうようになります。

これを「愛情遮断症候群」といい、親とのコミュニケーションがあまりにも乏しいと、不安定な情緒、知能や言葉の遅れ、睡眠障害による低身長などの影響がでるといわれています。

ネグレクトの実態を知るための映画を紹介

映画「子宮に沈める」

こちらの映画は、実際に起きた「大阪二児放置死事件」をもとに作られています。

主人公は、家庭をかえりみない夫と幼い2人の子どもたちと暮らしていました。夫は毎日帰りが遅く、主人公はたった一人で「良き母」であろうと奮闘します。

やがて夫との関係が破たんし、主人公は子どもたちと3人で生活を始めます。初めは今まで通り「良き母」として振る舞いますが、資格も社会経験もない主人公は仕事が見つからず精神的に追いつめられていきます。

夜の仕事を始めるようになってから主人公はだんだんと母であることをやめていき、ある日、幼い兄妹をアパートに残しそのまま帰らなくなってしまい…。

子どもたちが衰弱し、飢えて亡くなっていく様子はかなりつらいものがあります。

映画「誰も知らない」

この映画も、実際に東京の巣鴨で起こった事件を題材にしています。

映画の始まりは、一人の母親とそれぞれ父親のちがう4人の子ども達との生活を描いていますが、母親は外に恋人を作り、家に帰らなくなります。

置き去りにされた子ども達は、大人のいない家で母親から送られてくる生活費だけを頼りに肩を寄せ合い暮らしていきます。やがて、お金も送られなくなり電気や水道も止められてしまいます。

4人の子ども達の中で一番の年長者である主人公の少年は、懸命に弟や妹の面倒を見ながら暮らしていきます。しかし生活は困窮する一方で、やがて悲しい結末を迎えることとなってしまうのです。

子役の子ども達の演技が素晴らしく、ドキュメンタリー映像のような作品です。

映画「わたし、生きてていいのかな」

この映画は上記の2作品とは少し異なり、児童虐待という社会問題と向き合うためにとある映画製作チームが手掛けた作品です。映画タイトルで製作チームのサイトを検索すると、各地での上映会スケジュールや教材としての貸し出し案内などを見ることができますよ。

この映画では、虐待された子ども、してしまった母親、そして周りの大人たちにスポットが当てられています。とくに「社会的養護」というものをテーマに作られていて、傷ついた子どもが避難できるシェルターや、虐待をしてしまう親が適切なカウンセリングを受けられる施設などが登場します。

虐待を受ける側やしてしまう側の悲劇だけではなく、社会には様々な支援や援助のシステムがあるということを知るきっかけにもなります。

ネグレクトの実態を知るための実例を紹介

大阪二児置き去り事件

この事件は、上記で紹介している映画「子宮に沈める」のモチーフとなったものです。

2010年、大阪市のマンションで3歳の女の子と1歳の男の子の姉弟が、母親のネグレクトにより餓死してしまうという痛ましい事件がありました。犯人の母親は、「ご飯をあげたり風呂に入れたりすることが嫌になった。子どもなんかいなければいいと思うようになった」と話していたそうです。

子ども達が亡くなる前に、何度か「異臭がする」「赤ちゃんの泣き声が聞こえる」と近隣住民から児童相談所へ通報がされていたそうなのですが、それが子どもたちの命を救うことへはつながりませんでした。

事件のあったマンションでは、同じ悲劇が繰り返されないように月に1度、住人同士の交流会が開かれているそうです。

愛知県幼児虐待ダンボール監禁餓死事件

2000年に起きたこの事件では、3歳の女児が犠牲になりました。

被害者の女児は、少し発達の遅い子どもだったらしく、疎ましく感じるようになった両親から徐々に世話をしてもらえなくなりました。最終的には段ボール箱に入れられふたを閉じられた状態で放置されていたそうです。しかも、発達の遅れの原因は、乳児期に父親による揺さぶりで脳出血を起こしてしまったためといわれています。

近隣住民の通報で、保健師は母親と連絡を取っていたそうですが、女の子が亡くなる直前には連絡が取れなかったそうです。保健センターや児童相談所が関わりを持っていても、事件を防ぐことができませんでした。

亡くなったときの女児の体重はわずか5kgしかなく、3歳児の平均体重の半分以下だったそうです。

柏市の男児虐待餓死事件

2011年、千葉県柏市で起きたこの事件では、2歳10カ月の男の子が死亡しました。死因は栄養失調による餓死で、両親より世話を放棄されたことにより悲しい結末を迎えてしまいました。

この事件での異常性は、両親の子どもが被害者の男児だけではないという点です。事件が発覚したとき、この両親には男児のほかに女児が2人いました。そのうち次女の方は男の子と同じように栄養失調の状態で保護されましたが、長女は健康的でなにも被害がなく、日常生活でも大事にされていたそうです。

この両親がなにを考えて長女だけを大切にし、ほかの子ども達を傷つけ、殺してしまったのかは分かりませんが、幼いころより姉弟で愛情に差をつけて不平等に扱うということも虐待ではよくあるそうです。
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