ネグレクトについて知ろう。他人ごとではない実態と起こる原因
みなさんは「ネグレクト」という言葉をご存知でしょうか?テレビでも報道されていますが、年々子どもの虐待事件は増加の一途をたどり、不幸なニュースは後を絶ちません。このネグレクトも虐待の一つで、最近では聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。今回はネグレクトについて詳しく見ていきましょう。
目次
- ネグレクトとはいったい何なのか?
- 子育ての義務を怠り放置してしまうこと
- 子どもが必要とするものを親が提供しないこと
- 高齢者が必要とする介護を行わないこと
- ネグレクトが起こる原因は何なのか?
- 周りに頼れる人がいない環境
- 過去にネグレクトを受けていた
- 育児のストレスや疲れ
- ネグレクトが起こる確率が高い傾向は?
- 家庭が貧困である場合
- ひとり親家庭である場合
- 子どもに対して愛情不足
- ネグレクトの実態を知るための映画を紹介
- 映画「子宮に沈める」
- 映画「誰も知らない」
- 映画「わたし、生きてていいのかな」
- ネグレクトの実態を知るための実例を紹介
- 大阪二児置き去り事件
- 愛知県幼児虐待ダンボール監禁餓死事件
- 柏市の男児虐待餓死事件
- ネグレクトを受けた子どもの特徴の表れ方
- 性格や日常の行動に表れる
- 身体的や見た目に表れる
- 人と関わるときに表れる
- ネグレクトを受けた子どもは愛情不足になる
- 人に甘えることが苦手
- 人との距離感をうまくつかめない
- 人の気持ちがわからない
- ネグレクトを大きく分けた種類とは?
- 衣食を放棄する一般的ネグレクト
- 病院などに連れて行かない医療的ネグレクト
- 子どもの要求に無関心な情緒的ネグレクト
- ネグレクトに対する向き合い方とは
- ネグレクトは他人ごとではなく身近なこと
- 自分はならないとは限らないこと
- 誰でもいいから身近な人に助けを求めること
- ネグレクトから子どもを救うための考え方
- すべてのことを完璧にしようと思わないこと
- 子どもの接し方に悩んだときは相談すること
- 子どもも一人の人間として尊重すること
- まとめ
ネグレクトとはいったい何なのか?
子育ての義務を怠り放置してしまうこと
虐待というと、直接的に殴る、蹴るなどの身体的ダメージを連想しますが、ネグレクトは心理的にも深いダメージを与えるものといわれています。
自分で身の周りのことができないような小さな子どもが食事、排せつ、衣服など身体のケアをされずに放置されていれば、最悪の場合死に至ってしまう危険性があります。また、無視をするといった行為も、子どもの心に傷を負わせてしまうことになります。
子どもが必要とするものを親が提供しないこと
ここでの「必要なもの」とは様々なことを意味しています。食事、着るものはもちろんのこと、学校に通うなどの教育的なことや、けがや病気の治療など、普通に生活していれば当たり前に与えてもらえるものです。
そしてなによりも、両親より与えられる愛情は子どもにとって一番必要なものではないでしょうか。
ネグレクトを受けている子どもは、日々の食事や衣服を十分に与えられず、病院に行かせてもらうこともできない状況に置かれています。さらに親からの愛情が得られないので情緒面も不安定になっていきます。
高齢者が必要とする介護を行わないこと
加害者となってしまうのは、主に老親の面倒を見る息子や娘などの親族ですが、介護施設の職員によるネグレクトもあるそうです。介護の現場は人員不足が深刻であり、お年寄り一人ひとりにケアが行き届いていないため、こういったことが起こっているといわれています。
基本的には、子どもに対する虐待と同じく食事を与えられていない、汚れた服のままでいる、何日も入浴をさせてもらっていないなどといった特徴があり、投薬を怠られてしまうといったこともあるようです。
また、「セルフネグレクト」といい加齢により自身の生活が維持できず、孤独死などにつながるといった問題も存在します。
ネグレクトが起こる原因は何なのか?
周りに頼れる人がいない環境
夫は激務で帰りも遅く、実家や義実家の両親も遠く離れていて、近所との交流もないような状況での育児は、想像以上に孤独です。密室で常に子どもと一緒に過ごしている中で悩みや問題を一人きりで抱え込んでしまうと、徐々に正常な判断ができなくなってしまいます。
限界がきて子どもを放置してしまう前に自ら行動を起こし、周りにSOSのサインを出して働きかける必要があります。
夫や両親だけでなく、電話相談や児童相談所の職員など、誰でもよいのでまずは頼れる人を見つけましょう。
過去にネグレクトを受けていた
自分の子どもに対して虐待をしてしまう親は、かつて自分も親に虐げられていた経験があり、その過去に苦しんでいる場合があります。
このような親は、自分の育った環境が当たり前と思い、その通りにしか子どもに接することができません。子どもに対してつらく当たることがいけないことだと理解はしているものの、「自分もされてきたのだから」と正当化してしまうこともあります。
自分のつらい体験を子どもに強いるということは、ネグレクトに依存してしまっているということになります。
親から受けた虐待の連鎖を断ち切るためには、心を強く持つことが大切です。
育児のストレスや疲れ
育児は24時間365日休みがありません。毎日子どもの世話をし心身ともに疲弊している中で頼れる人もいない場合、ママは休むこともできずストレスはたまり続けます。
どんなに子どもを愛しているママでも、休息も取れず働き続けていてはノイローゼになってしまいます。ストレスと疲労に追い込まれて、結果的に何もしたくなくなってしまい子どもを放置するという最悪の形にたどり着いてしまうのです。
ストレスのはけ口が子どもに向かってしまうというのは、虐待ではよくあることです。追いつめられて子どもに被害がおよぶ前に、自身のケアをすることが重要になってきます。
ネグレクトが起こる確率が高い傾向は?
家庭が貧困である場合
貧困の場合、食事や入浴・着替えなどの身の回りの世話やけがや病気の際の通院などについて、「親が子どもに無関心」であることが原因ではなく、「お金がないため」にそれらの世話ができません。
これは、親の意識はもとより、生活レベルを改善していかなくてはいけないので、立ち直ることもなかなか容易ではありません。状況によっては、役所や行政などの支援が必要となってくる場合もあります。
親は生活の維持に手いっぱいでそれ以外に頭が回らないため、子どもは放置されてしまう状況におちいります。その結果、貧しい家庭で育った子どもとそうでない子どもを比べてみると、健康面や学力面においてとても大きな差が生まれてしまうのです。