へその緒は母子の繋がりの歴史。親子の絆を大切してきた日本人の思い
へその緒がとれるタイミングとケアの方法
へその緒はいつごろとれる?
生後1カ月を過ぎるころにはとれていることが多いので、心配し過ぎないでくださいね。ただ早くとれてほしいからと、無理に引っ張ったりむやみに触ったりするのはやめましょう。赤ちゃんのおへそはとてもデリケートですから、雑菌が入って化膿してしまったり、最悪の場合、全身の細菌感染症につながったりするリスクがあります。
焦らずにケアを続け、もし1カ月健診のときにまだとれていなければ、相談してみましょう。
とれる前もとれた後もおへそのケアが必要
ケアに必要なものは、綿棒と消毒用アルコールです。出産した産院から渡されることが多いですが、足りなくなった場合などは市販のもので問題ありません。
ケアのタイミングとしては沐浴後がよいでしょう。へその緒がついている間は、へその緒を持ち上げ、消毒用アルコールのついた綿棒で根元からくるりと一周拭き取ります。へその緒がとれた後もおへそがしっかり乾燥するまではケアを続けましょう。
いつまでケアを続ければよいのか自己判断が難しいときは、1カ月健診でチェックしてもらってからやめると安心ですね。
おへそのチェックも忘れずに
この臍炎が悪化したり、へその緒がおへその中に残っていたりすると、「臍肉芽腫(さいにくげしゅ)」ができることがあります。これはおへその中にしこりができた状態で、おへそが赤く盛り上がったり、出血が続いたりなどの症状が特徴です。中には手術が必要になるような原因が隠れていることもありますから、こちらも必ず小児科を受診しましょう。
おへその状態を毎日チェックして、早めに異変に気づけるようにしてくださいね。
へその緒を日本人が大切にしてきた歴史
日本では古くから大切に保管する風習がある
ちなみにこの俳句は、旅から帰ると母が亡くなっていて保管されていたへその緒が残されていたという情景が表されたものです。
日本ではへその緒はママと赤ちゃんを繋ぐ特別な絆だったのですね。また子どもが大病をしたときは、へその緒を煎じて飲ませるとよいという信仰もあり、お守りのようなものでもありました。
今でもへその緒を大切にする風習は受け継がれていますね。そんな大切なへその緒を守るために、正しい保管方法についても知っておきましょう。
防虫と防湿効果に優れた桐の箱が最適
ただし、産院でへその緒の保管箱をプレゼントされる場合もありますが、自分で用意する場合はへその緒がしっかり保管できる素材の箱かどうかを確認しましょう。
市販のへその緒の保管箱は、着物や人形などを保管するときに使われる桐でできているものが多数を占めます。桐は防虫と防湿効果に優れているので、へその緒の保管にも最適なのです。もちろん家にある桐箱でもよいですが、市販の保管箱には赤ちゃんの名前や出生体重などを記入できるものもありますよ。気に入ったものを選んでくださいね。
最後は「母親の棺に入れる」という風習も
例えば、三途の川を渡るときの通行手形になるという言い伝えから、母親の棺に入れるという地域や、お嫁に行くときに渡す、天国で迷わず母親と出会うために子ども自身が亡くなったときに棺に入れる、という地域などです。
ほかに、男性が戦争に行くときに渡したり、胎盤などと一緒に川に流したりする地域もありましたが、この風習は、時代が違ったり法律違反だったりするため今は行われていません。
へその緒を最後にどうするかは、子どもが大きくなったときにへその緒を自分で持っていたいかどうかを尋ねてみてから決めるとよいかもしれませんね。
まとめ
通常へその緒はすぐに切りますが、赤ちゃんの鉄分不足を避けるためにゆっくりと切った方がよいという説もあります。赤ちゃんが上手に肺呼吸ができるまで拍動を続けるともいわれるへその緒には、まだ解明されていない秘密があるのかもしれませんね。
へその緒を大切に保管するという日本の昔からの風習をこれからも受け継ぎ、赤ちゃんとの絆を守っていきたいですね。