ありがたい祖父母からの援助!税金制度を理解して賢く利用しよう
子育てをしていると育児用品の購入や日々の食費など、たくさんの費用が掛かってしまいます。そんなときありがたいのが祖父母からの経済援助です。しかし、援助をしてもらうときに心配になるのが「贈与税」などの税金ですよね。今回は祖父母からの援助に関わる税金制度について解説します。
祖父母に住宅の購入費を援助してもらう場合
普通に援助してもらった場合の贈与税
しかし、贈与額が110万円を超えた場合、贈与額から110万円を引いた額の20%が贈与税額となります。
例えば500万円援助をしてもらった場合、課税対象となるのは110万円を引いた390万円です。贈与税は課税対象額の20%ですので、390万円に0.2をかけた78万円を贈与税として支払わなくてはなりません。
贈与税を考慮すると、500万円受け取っても実質は422万円ということです。これはかなりの減額といえますね。
「住宅取得等資金贈与の非課税」制度を利用
これは住宅の購入、新築、増改築等で資金援助を受けたときに利用できる制度で、消費税8%の物件であれば最大1,200万円、消費税10%の物件であれば最大3,000万円まで贈与税が非課税となります。基礎控除と同時に受けることができますよ。
ただし、住宅の性能や大きさなどによって制度の対象外になったり非課税枠が異なったりすること、2020年4月以降は非課税枠が変わることに注意が必要です。
また、贈与を受けた翌年の3月15日までに居住し、税務署に贈与税の申告を行なわなければ非課税になりませんので、しっかり申告してくださいね。
「相続時精算課税」制度を利用する手もあり
相続時精算課税は「税金支払いの先伸ばし」ができる制度です。累計が2500万円までであれば贈与時は非課税で贈与を受けることができ、目的も住宅取得に限定されません。
しかし、贈与者が亡くなったときに遺産相続分+贈与分が相続税の基礎控除額を超えた場合は相続税が発生します。さらに、相続時精算課税を一度選択すると、暦年課税に戻すことができない点は注意が必要です。
また利用には贈与者が60歳以上であることと、贈与を受ける人が20歳以上の「推定相続人」であるという条件があります。
祖父母に教育費を援助してもらう場合
「贈与税非課税の教育資金一括贈与」を利用
孫名義で口座を作ったあと、金融機関で教育資金非課税申告書を提出するだけで手続きができ、税務署に行く必要がありません。年齢の条件もないため「孫に直接教育費を援助したい」という祖父母にぴったりですね。
ただし、お金を利用できるのは「教育関連費」だけに限定されており、金融機関に領収書を提出しなくてはならないほか、孫が30歳になった時点で残金があった場合は残金に対して贈与税が発生します。
2019年3月31日までの特例制度ですので、利用するなら早めの検討が必要です。
学資保険に加入するお金を援助してもらう
赤ちゃんが産まれたときにパパやママが加入することが多いのですが、近年はパパやママを加入者にして祖父母が学資保険料を支払うケースが増えています。
保険料は保険内容や加入時の年齢などによって変わりますが、子どもが0歳だと月々1~2万円程度となります。一度にかかる負担が少ないため援助しやすいと感じる祖父母も多いのではないでしょうか。
パパやママではなく祖父母が加入者になることもできます。ただし、掛け金が高くなることが多いため、加入の際はよく相談してくださいね。
「暦年贈与」制度は年110万まで申告不要
暦年贈与とは、1年間の贈与額が基礎控除額である110万円以下であれば課税の対象にならず、申告も不要という制度です。
例えば1,000万円を教育費として援助する場合、毎年100万円を10年間援助すれば贈与税は発生しません。用途が限られることがなく、残金が出ても贈与税の対象とならないというメリットもあります。
ただし、毎年同じ時期に贈与すると「定期金の贈与契約」だと判断されることがあるので、時期や金額を変更したほうがよいでしょう。
ほかにもよくある祖父母からの援助例
日常的な食材や日用品を買ってもらう
なかでも多いのは「月に1回、食材を送ってもらっている」「実家で作った野菜をおすそ分けしてもらう」「帰省したときに持ち帰りできる食品を買ってもらう」といった食料品の援助です。食費が家計に占める割合は大きいので、食材を援助してもらえるのは助かりますね。
また、タオルや洗剤などお歳暮やお中元でもらった日用品や親戚から「おさがり」してもらった子ども服を送ってくれるなど、日用品や衣類をもらっているママもいます。
「お金で援助」というと抵抗を感じることがありますが、「物で援助」なら抵抗も少なく、税金の心配もありませんね。