フランスの幼児教育の在り方。文化の違いからみえる教育法
先進国の中でも、フランスは出生率が高く、子育てのためのサポートが充実していることでも有名です。子どもが多いフランスでは、一体どんな幼児教育をしているのか、興味のあるママもいることでしょう。そこで今回は、フランスの幼児教育についてお話ししたいと思います。
フランスが幼児教育の先進国といわれる理由
3歳でほぼ100パーセントが幼稚園
幼稚園に入園許可される条件はただひとつ「オムツが外れていること」。そのため、幼稚園入園を控えた夏頃からオムツを外すトレーニングをする子どもが大半です。
とはいっても、年少組の間は最初は教室でお漏らししてしまう子も少なくありません。お漏らしの回数が減らず、改善が見られない場合は、完全にオムツなしになるまで登園拒否される子どももいます。もしくはあまりひどい場合は、入園すら許可されない子どももいます。
個性尊重で飛び級も留年も普通
その逆もしかりで、明らかに勉強についていけない子は留年することも普通です。小学生であっても留年することがあります。また、高校を卒業するためには「バカロレア」という専門別になった高校卒業認定試験をパスしないと大学へはすすめません。
しかし、このバカロレアが1度でパスできなくて留年、翌年再チャレンジ、もしくは諦めて高校中退する子どももたくさんいます。このように、フランスでは子どものレベルによって留年もしくは飛び級することが日常的に行われています。
公立幼稚園は給食費以外は無料
ただ、給食費は各家庭の前年度の所得により決まります。幼稚園で給食を食べさせない場合は、昼前に子どもを迎えに行き、家で昼を食べさせてから午後頭にまた登園させます。
また、毎週水曜日のみ、幼稚園は11時半までとなっており、午後に習い事をする園児も少なくありません。それ以外の日は朝8時半から午後の4時半までとなっています。必要な場合は平日18時半までの学童を利用することが可能で、その費用も前年度の所得により決まります。
フランスの育児支援は国全体の文化
フランス社会全体で育児支援
会社で仕事をしている女性が妊娠をすると、出産予定日の数カ月前から会社は産休代理の契約社員を雇い、仕事の引継ぎをしてから産休に入ります。会社は妊娠を理由に社員を解雇することは法律で固く禁じられているので、産休中にクビになる心配もなく安心して子どもを産むことができます。
妊娠6カ月から、公立保育園の待機リストに登録することができ、運が良ければ0歳から公立保育園に子どもを預けることが可能です。ただ、パリ市内においては地区により、日本の都心部と同じ待機児童問題があり、パリ市は毎年新しい保育園を設立しています。
自立心や自信の土台は幼児期から
園児は朝教室につくと、自分自身で朝のアクティビティを選びます。内容は、すごろく、パズル、お絵かき、塗り絵、チェス、粘土など様々です。先生から指示されるまでじっとしている子は一人もいません。
担任とそのアシスタントは子ども達のサポートをするだけで、朝のアクティビティに関しては子ども達は自分で自発的に動かなければなりません。各自アクティビティをした後は、みんなで席に座り、アルファベットを覚えたり数の勉強をしたりします。
このように、幼稚園時代から子どもは自立心を養い、「自分でできる」という自信につながっていくのです。
パパの産休も当たり前のフランス
社会的にパパが育児休暇を取るのも当たり前の権利として認められており、会社で肩身の狭い思いをすることもありません。また、法律により社内のポジションは休暇後もきちんと保証されているので、早く復帰しないと自分のポストが無くなるといった不安を感じる必要もありません。
育児休暇は決してママだけのものではなく、パパも平等に取るものとして社会的に受け入れられています。
幼児にフランス語を教えるのはあり?
先に母国語教育では?の疑問
一般的に、できるだけ小さい頃から外国語を学んだ方がネイティブのような発音を覚えることができて有利だといいます。その反面、日本語がまだ満足に話せないうちから外国語を習うと母国語習得の邪魔になるのでは?という意見もあります。
もちろん、子どもにはきちんとした日本語も話せるようになってほしいですよね。母国語である日本語をメインで学びながら、サイドでフランス語に耳を慣らしてみるのもよいでしょう。