体重2,000g前後で出産!低体重のリスクや制度について
待ちわびた赤ちゃんの誕生は家族が幸せになりますね。赤ちゃんによって出生時の体重はさまざまですが、早産で妊娠36週までに生まれた赤ちゃんや中には妊娠37週~41週の正産期に生まれた赤ちゃんでも、出生時2,000g前後のケースがあり低体重児といわれます。その場合のリスクや制度についてご紹介します。
未熟児と低出生体重児の違いとは?
「未熟児」の定義について
以前は2,500g未満で生まれた赤ちゃんを総称して未熟児とよんでいる時期もありましたが、現在は出生体重やママのお腹の中にいる期間である在胎週数に関係なく、生まれてから自発的に呼吸をする呼吸機能や、母乳やミルクを飲む哺乳能力などの身体機能が備わっているかどうかで判断されます。また、脳障害が見られるかどうかも判断の基準です。
身体機能が未熟な赤ちゃんは出生体重が2,500g未満の場合に多くみられますが、2,500g未満で生まれても在胎週数が長く身体機能が十分に備わっている赤ちゃんもいます。また2,500g以上で生まれても、それらの身体機能が未熟な赤ちゃんもいることから、出生体重だけで未熟児かどうかを判断するのは適切ではないとされています。
ママが不安な際は医師に未熟児の定義の確認をしましょう。
三つに分類される「低出生体重児」
1.低出生体重児
体重1,500g以上、2,500g未満で生まれた赤ちゃんを低出生体重児といい、胎児発育曲線では妊娠36週ごろの胎児の平均体重です。低出生体重児は妊娠22週から37週未満で生まれた早産の場合が多く、国内の出生数が低下している一方で低出生体重児で生まれる赤ちゃんは微増、高止まりしています。
2.極低出生体重児
体重1,500g未満で生まれた赤ちゃんを極低出生体重児といい、胎児発育曲線では妊娠30週ごろの胎児の平均体重です。生まれる赤ちゃん全体に占める割合はわずかですが、極低出生体重児で生まれる赤ちゃんの割合は2005年ころから高止まりしています。
3.超低出生体重児
体重1,000g未満で生まれた赤ちゃんを超低出生体重児といい、胎児発育曲線では妊娠27週ごろの胎児の平均体重です。超低出生体重児で生まれる赤ちゃんの割合は増加傾向です。
低出生体重児で生まれる原因や合併症とは
母体や胎児のトラブルによる早産が原因?
母体側のトラブルとして、血圧が高くなり胎盤の血管に圧力がかかるため血流が阻まれる「妊娠高血圧症候群」、血糖値が高くなりインスリンの働きが阻まれるため治療が必要な「妊娠糖尿病」などがあります。胎盤異常である「前置胎盤」「低置胎盤」などは胎盤の位置が正常でなく成長するにつれて圧迫され、胎児の発育不全につながる可能性があります。
胎児側のトラブルでは、へその緒が体に巻きついている「臍帯巻絡」、強く捻じれている「臍帯過捻転」などへその緒の異常があります。また、染色体異常も原因の一つとされています。
妊娠中の生活習慣が原因になることも
たとえば妊娠中の喫煙は、母体の血管が細くなり赤ちゃんに十分な栄養が届きにくくなります。胎児は栄養不足の状態になり発育に遅れが生じます。
ママが喫煙していなくても、隣でパパが喫煙していると同じように胎児に影響しますので喫煙はやめましょう。
また妊娠中の飲酒は、胎盤を通じてアルコールが胎児に移行します。大人はアルコールを体内で分解できますが胎児にはその機能がなく直接アルコールが移行し、胎児性アルコール症候群になり、発育不全などの症状が起こります。
ママの食生活や歯周病なども原因とされていますので定期的に見直してみましょう。
低体重での合併症や障害はある?
極低出生体重児の場合、ママから胎盤を通じて栄養が届きにくく、免疫が弱いというリスクがあります。
合併症としてみられるものに慢性肺疾患、貧血、胎便関連性腸閉塞などがあり、いずれも免疫が弱いことや未発達な身体機能により引き起こされます。多くみられる障害は、学習障害や注意欠陥多動性障害、聴覚・視覚障害などがあります。
超低出生体重児の場合、脳、呼吸、循環器、消化器など器質的な障害がみられます。障害を長期的な視点でとらえて子どもの成長と向き合いましょう。