【ロンドンに暮らしたママが語る】ゆるく自由なイギリスの幼稚園事情
日本でも園によって大きく教育方針や雰囲気が変わる幼稚園ですが、それはイギリスも同じです。地域によって、また公立か、私立か、によってもそれぞれ個性があります。ここでは娘が通ったロンドンにある公立幼稚園での体験をご紹介します。「こんな園生活もあるのか」と思って読んでいただければ嬉しいです。
イギリスの幼稚園はこんなところ
初登園はたったの10人
娘の園では月齢によって初登園日が違い、9月第一週スタートの子もいれば最終週まで待機する子もいました。子どもにとって大きな環境の変化となる集団生活のスタートをよりスムーズにという考えのもと、まずは月齢の低い子どもたちだけで園生活に慣れさせ、なじんだところで次のグループを合流させる、というやり方をしていたのです。
娘は夏生まれで、9月が学年の変わり目のイギリスではいわゆる「早生まれ」扱いでしたので初登園は一番早いグループ。初日はたったの10人でした。
教室のまんなかに砂場?
教室内はゾーン分けされていて、自由遊びの時間では子どもたちは好きなところで遊べます。セロテープや絵の具がおいてある工作テーブル、絵本がたくさんの図書エリア、仮装コスチュームがいっぱい置かれた「ドレッシングアップ」コーナーもありました。
そのなかでもっとも場所をとっていたのが室内用の砂場でした。天気が安定せず、外遊びもままならないイギリスの幼稚園ならではかもしれません。
次に場所をとっていたのが同じく室内用の水遊び場です。小さなボートを浮かべたり、水車をまわしたり、子どもたちに人気のエリアでした。
おやつタイムはみんなで丸かじり
全員が床に座ると、先生がおもむろに子どもたちにりんごを放って投げるのです。初めて見たときは「動物園?」と度肝を抜かれたのですが、慣れとは恐ろしいものでそのうち気にもならなくなりました。
子どもたちは受け取ったりんごにそのままかじりついていきます。りんごの他には洋ナシも多かったです。
どちらも切らずにそのまま食べられ、皮や種などのゴミが少ないのが便利なのですね。ちなみにりんごも洋ナシも日本で見かけるものよりも二回りほど小さく、食べやすいサイズです。
はじめてのお友達とのお付き合い
プレイデートがしたい!
そうなるとアレンジは親の仕事です。「〇ちゃんと遊びたい」と言われたら、その子の保護者を送り迎えのときに探しあてます。そして、「うちの子がお子さんと遊びたがっています。何曜日だったら都合がよいですか?」と相手の予定をきき、連絡先を交換。
あとは当日担任の先生に2人まとめてピックアップすることを両方の親から連絡しておけばOK。自宅に招く場合は子どもだけを預かり、親は事前に約束したお迎えの時間に現れるだけのことが多かったです。
パーティーの招待状が届く
私たちの住んでいた地域では、幼稚園が始まる4歳くらいから大掛かりな誕生日パーティーを催す家庭が多かったようです。クラス全員を招くことも珍しくなく、広い会場を貸切り、マジシャンなどのエンターテイナーを雇うこともありました。
招かれた側は出欠の返事をして、プレゼントを用意します。服装は自由ですが、テーマがある場合(プリンセスなど)はそれを意識した格好をしていきます。
仲よしのお友だちとたっぷり遊んで、お菓子やケーキも食べられるパーティーは子どもたちにとっても特別なお楽しみです。すべてを企画する親の負担は大きいのですが、ついつい頑張ってしまうのです。
気をつかう食べ物事情
特に多いのがナッツアレルギーで、娘の通っていた園では個人が持参するお弁当やスナックもナッツ類は一切禁止されているほどでした。娘がよく遊ぶお友だちには重篤な子はいませんでしたが、命に関わることなのでとても神経をつかいました。
もうひとつは宗教上の制限です。娘の誕生日パーティーに招待した子どもで、前日になって親から「豚肉は食べさせないで」と言われたことがあります。
その年は軽食としてホットドッグを準備していたので、大慌てで別メニューも用意しました。「事前に確認しておけばよかったなあ」と反省したものです。
保護者の活動はやりたい人がやる
クラスの補助員をやってみると
活動は週1程度、内容も「教員の補助全般」とおおまかなもの。厳しく言われたのは「教室内で見聞きしたことを保護者同士のうわさ話にしない」ことだけでした。
実際3年間通いましたが、ファイリングなどの事務作業からマンツーマンで音読を聞いたり工作をしたり、といった子どもと関わるものまで内容はさまざまでした。
娘のクラスに出入りするので、家とはまた違う、園での娘の姿を目にし「こんな一面もあるのか」と驚くことも。また個性豊かなクラスメートと私自身が間近に接することで、狭くなりがちなひとりっ子育児の視野を広げることができました。