妊婦の不調の原因はホルモン?体のしくみを知って穏やかに過ごそう
「妊娠中はホルモンバランスが崩れる影響でイライラしたり、不調になったりする」という話はよく耳にしますよね。今回は、そもそもホルモンとは何なのか、ホルモンバランスの乱れによって不調を感じたときには、どのように対処すればよいのかなどについてご紹介します。
女性特有のホルモンの種類や役割を知ろう
卵巣から分泌される2種類の女性ホルモン
・卵胞ホルモン
エストロゲンともいわれ、卵巣内の卵胞が発育するときに分泌されるホルモン。子宮内膜を増殖肥厚させる、女性らしい体格にする、肌の張りや潤いを維持する、動脈硬化を防ぐなどの役割を持つ。
・黄体ホルモン
プロゲステロンともいわれ、黄体から分泌されるホルモン。子宮内膜を柔らかくして受精卵が着床しやすいようにする、基礎体温を上げる、乳腺を発育させる、体内の水分量を保つなどの役割を担う。
理想的な女性ホルモンのリズムとは
これは、ひと月の間に一定のリズムで卵巣から分泌される女性ホルモンの影響によるもの。個人差はありますが、女性の体では2種類の女性ホルモンの分泌量が1カ月の間に変動し、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期という四つの時期を20〜40日で繰り返すという、女性特有のホルモンのリズムがあるのです。
卵胞期は気持ちが安定して肌の潤いを実感できる、黄体期はイライラして疲れやすくなるなどの特徴があるので、基礎体温の記録をつけて自分のホルモン周期を知っておくことで、自身の体調のリズムを知ることができます。
妊娠中だけ分泌されるホルモンもある
・hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)
受精卵が着床してから作られ始め、妊娠4週目(生理予定日)頃から尿の中に出てくる。「妊娠して胎盤ができた」という証拠であり、妊娠検査薬はこのホルモンを検出して反応するよう作られている。妊娠初期において、異常妊娠を判断するときの指標にもなる。
・hPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)
妊娠初期にたくさん分泌されるhCGと入れ違いに、胎盤からの分泌量が徐々に増え、出産直前に分泌量のピークを迎えるホルモン。胎児と母体へ栄養を届ける、母体の代謝機能の調節をする、などの役割を担っている。
妊婦の不調やイライラはホルモンに一因あり
妊婦のホルモンバランスが乱れやすい理由
先に説明したように、通常であれば女性の体内ではエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンが、生理周期に応じてそれぞれバランスよく増減しながら分泌されています。
しかし妊娠すると、受精卵の着床や発育を助けたり、基礎体温を上昇させたりするなど、妊娠初期に欠かせないホルモンであるプロゲステロンの分泌量が増加する関係でホルモンバランスが崩れてしまい、心身に様々な影響が出るようになるのです。
体のにおいが気になってしまう場合も
・汗
妊娠中は基礎体温が上昇するため、ちょっと体を動かしただけでも大量の汗をかいてしまうが、この汗を放置すると雑菌が繁殖するので、衣服についた汗のにおいが気になることがある。
・アポクリン腺の影響
耳の下やわきの下などにあるアポクリン腺という汗腺は妊娠中に汗の分泌が増加するが、ほかの汗腺と比べて流れ出る汗のにおいが強いため、体臭がきつくなったように感じることがある。
・おりもの
妊娠中は女性ホルモンの影響でおりものの量が増えやすいが、長時間放置することでにおいを発してしまい、気になってしまうことがある。
パパにも説明して夫婦喧嘩を避けよう
情緒不安定なママに対して、パパは対処に戸惑ったり、同じようにイライラして喧嘩になったりするかもしれませんが、事前にママの方から「ホルモンの影響でこうなりやすいから、今は見守ってほしい」と説明し、妊娠中のメンタルを理解してもらうとよいでしょう。
中には心身ともに不安定な状態が続くことで、うつのようなマタニティーブルーへと発展することもあります。産前産後はホルモンバランスの影響で何かと精神的に不安定になりやすいので、周囲に理解とサポートを求めることが大切です。
調子を整えて妊婦生活を穏やかに過ごすコツ
たっぷり睡眠をとって規則正しい生活を
つわりの関係で偏食気味になっていたり、生活環境の変化で遅寝遅起きになっていたりすると精神的に不安定になりやすいものです。栄養バランスのよい食事を取ったり、夜は早めに休んで早起きをするようにしたりと、規則正しい生活を心がけるとよいでしょう。
中でも睡眠は大切です。上の子のお世話や家事、仕事、出産準備などで忙しいかもしれませんが、あまり無理をすると心身ともに疲れてしまいます。家事などは上手に手抜きして、時間をゆったり使って心と体を休ませましょう。