差し乳で痛いと感じる原因とは。母乳が作られる状態や痛みの原因まで
「母乳の量が少ないかも?」と思っていることが多い差し乳タイプのママでも、おっぱいに痛みを感じることもあります。「この痛みはなんだろう?」と気になっているママ向けに、痛みを感じる状態やその原因、母乳の生産や不足しているかの確認方法、起こりやすい疾患をまとめてご紹介します。
差し乳で痛いおっぱいはどんな状態?
オキシトシン反射により母乳を外へ出す準備
差し乳で痛みを感じるのには、オキシトシン反射という作用が関係しています。
オキシトシンは母乳を外へ出す作用を持っているホルモンで、ママの脳から分泌されると乳腺胞がギュッと収縮して、母乳を押し出すのです。この作用を「オキシトシン反射」といいます。
この反射が起きているときには、ママのおっぱいが張ったような感覚があり、同時にチクチク、キリキリした痛みを感じます。
授乳を想像するだけで痛くなることも
赤ちゃんの泣き声や授乳を想像しただけで胸が張ったり痛んだりするのを、「催乳反射」というのですが、実はこのときもママの体内では母乳をたくさん出そうと、オキシトシン反射が起こっているのです。
この反射は、赤ちゃんが乳頭に吸いつく肉体的刺激でも作用しますが、それ以外にも、泣き声を聞いたり授乳を想像したりするだけでも作用します。
二つの反射にも個人差があり、泣き声だけで反応するママもいれば、授乳を始めてから胸が痛んだり張ったりするママもいます。
授乳中に反対側のおっぱいでの痛み
ママの体内では、あらかじめ準備されていた母乳を外へ出そうとするのと同時に、プロラクチンというホルモンがたくさん分泌され、母乳の生産量を増やそうと働きかけます。このように、差し乳タイプのママは赤ちゃんが母乳を飲み始めることで刺激を受けて、母乳の生産量がぐっと増えるのです。
このとき、反対側のおっぱいの中では乳腺胞がギュッギュッと収縮しているので、痛みや張りを感じます。
「後にした側のおっぱいの方が、出がよいな」と感じることがあるのは、このような体の仕組みが働いているからで、母乳がしっかりと生産されている証拠ともいえますね。
差し乳で痛くないと母乳は足りてない?
痛いと感じないときも母乳は生産されている
溜まり乳タイプのママと違い、「授乳しないと張ってしまって痛い」という感覚があまり無いので、常に母乳が作られて溜まってきているという実感はほとんどありませんが、しっかりと母乳は作り続けられていて、おっぱいの中にストックされていますよ。
母乳が足りているかどうかが心配になることもありますが、あまり思い込んだり、気にし過ぎたりしないようにしましょう。次の項目では、不足しているかどうかの判断方法もご紹介しますね。
差し乳が母乳不足とは限らない
母乳の生産量には個人差がありますが、赤ちゃんが満足していて健康に育っていれば問題はありません。でも、不足しているのかどうかを確かめたい場合には、赤ちゃんのおしっこの状態と回数、成長曲線に沿っているかどうかで判断ができますよ。
・1日に6回以上、色とにおいが薄いおしっこが出ている
・成長曲線がスタンダードカーブに沿っている
この二つを確認することで、母乳が足りているかどうかを判断することができます。赤ちゃんの体重は、最低でも1週間~1カ月ほどの期間で計測を続け、そのデータを元に体重の増え方を判断しましょう。
差し乳で搾乳がうまくいかないときは
搾乳がうまくいかないとか、なかなか母乳が出ないと感じるのは、搾乳は赤ちゃんに乳頭を吸われるのに比べると刺激が弱いため、オキシトシン反射が起こりにくいからなのです。
搾乳がうまくいかないときには、おっぱいを蒸しタオルなどで温めて乳頭マッサージをしてから、正しい方法で搾乳をすると、出がよくなることもあります。乳輪付近にある乳管の塊を親指の腹と人差し指の腹で挟むようにして、肋骨の方へ向かって優しく圧迫しましょう。
また、母乳が多く溜まっている時間帯でもある、朝一番に搾乳をするのもおすすめです。