産休の期間や手当金の支給額とは?役に立つ基礎知識と日米比較
仕事をしていてなおかつ妊娠中の女性は、育児介護休業法により出産前後に「産休」と呼ばれている休業が取得できます。この期間に得られる手当や支給額などを確認しておきましょう。このような産休に関する基礎知識とあわせて、子育て先進国といわれているアメリカの産休制度との比較も見ていきましょう。
目次
- 押さえておきたい「産休」の基礎知識
- 産休を取るための条件と準備するもの
- 産前産後に休める期間はどれくらい?
- パパが取れるのは産休ではなく「育児休暇」
- 産休中の手当金と保険料や税金の注意点
- 1日当たり日額の3分の2に値する額が支給
- 出産育児一時金の支給と社会保険料の免除
- 手当てや減税措置について事前に確認しよう
- 妊娠を会社へ報告して産休を申請しよう
- 妊娠の報告は安定期に入るころがおすすめ
- 産休中に提出する申請書を会社に確認
- 産前産後休業の手続きの方法
- 産休の挨拶は口頭とメールの両方がベスト
- 謙虚な姿勢で復帰の意思もアピール
- 業務に支障がないように余裕をもって報告を
- メールを送る際の抑えておきたいポイント
- 日本と大きな差があるアメリカの産休事情
- 基本的にアメリカは産休制度が整っていない
- カリフォルニア州は優良な産休制度を提供
- アメリカでは育児に積極的なパパが多い
- まとめ
押さえておきたい「産休」の基礎知識
産休を取るための条件と準備するもの
正社員や派遣社員やパートなど雇用形態には様々なものがありますが、こちらも関係なく取得が可能です。例えば4月にパートを始めて、6月に妊娠が分かったケースも産休を取ることが可能です。
働く会社に産休の規定がない場合でも産休は育児介護休業法で定められており、申請を行えば取得できます。申請先は勤務先で、必要なのは母子健康手帳、保険証、印鑑、通帳の四つです。あらかじめ申請書を用意しておくとよいですね。
産前産後に休める期間はどれくらい?
産前休業は、希望により出産予定日の6週間前から取得が可能です。お腹の子どもが双子以上の場合には、出産予定日の14週間前から取得できますよ。多胎児妊娠はママの負担が大きいため、早くから産前休業を取得できます。出産が予定日とずれても出産予定日を起点とするため、予定日を超えてもそのまま産前休業としてお休みできます。
産後休業は出産日の翌日を起点として8週間です。出産後8週間は、たとえママが働きたいと希望しても原則働くことはできません。ただ産後6週間が過ぎてママが希望し、医師が問題ないと診断すれば働くことができます。
パパが取れるのは産休ではなく「育児休暇」
パパが取得できるのは産休ではなく、「育児休暇」という休暇制度です。
育児休暇は1歳未満の子どもを養育するママやパパが取得できる休暇で、会社に規定がなくても取得が可能です。育児介護休業法で定められた条件を満たしていれば、申請により取得できます。
条件とは
・子どもが1歳未満
・雇用期間が1年以上
・育休後就労する意思がある
となります。
基本は子どもの1歳の誕生日までですが、場合により2歳の誕生日まで延長可能です。
産休中の手当金と保険料や税金の注意点
1日当たり日額の3分の2に値する額が支給
・ママ自身が健康保険の加入者で妊娠のために休業した
・妊娠4カ月(85日)以上で出産
・事業主から給料が支払われないか支払われる給料が少ない
国民健康保険の場合、パパの健康保険に被扶養者として加入している場合、事業主から給与の支払いがある場合は支給されないほか、国民健康保険組合も支給されないケースがあります。また、共済組合は同程度の金額が支給されますが、共済組合により金額が異なることもあるので、対象者となるかチェックすることが必要ですね。
1日当たりの日額は「標準報酬月額÷30日×3分の2」で計算し、総支給額は「1日当たりの日額×産休日数」で算出します。
出産育児一時金の支給と社会保険料の免除
ママが健康保険の加入者本人であれば出産育児一時金としてママに支給され、ママがパパの被扶養者として加入しているのであれば、パパに家族出産育児一時金として支給されます。
社会保険(国民健康保険や国民年金を除く)に加入しているママは、申請により社会保険の支払いが免除になります。免除期間は産休に入った月から、産休終了日の翌日にあたる月の前月までで、産休中に会社に申請します。
手当てや減税措置について事前に確認しよう
例えば、ママが出産を機に退職する場合では、退職前に1年以上健康保険組合に加入していれば出産手当金の支給を受けられる可能性がありますが、退職日に出勤をしてしまうと支給が受けられなくなるといった盲点があります。
産休を取得するころには細かな部分を把握できなくなるケースもあるので、安定期に入ったら事前に確認をしておくとよいですね。手当の支給が適用されるように調整を行い、申請漏れがないようにしておきましょう。
妊娠を会社へ報告して産休を申請しよう
妊娠の報告は安定期に入るころがおすすめ
ですが、初期の段階では妊娠が継続できるか不安ですよね。一般的に安定期と呼ばれる妊娠4~5カ月ごろであれば、流産の確率も低くなるため安心して妊娠の報告ができますね。
ただ、妊娠初期はつわり症状が重く出たり頻繁に妊婦健診に行ったりする必要があるなど、欠勤が増えることがあります。このようなケースを考えると、直属の上司には早めに報告をして、安定期に入ってから同僚などほかの人への報告を行うなど段階的に行ってもよいですね。