配偶者特別控除を理解して節税!基礎知識と改正後からみる働き方とは
2017年に行われた税制改正によって、配偶者控除や配偶者特別控除について大幅な見直しが行われました。ですが、そもそもこれらの控除がどのようなものなのかご存知でしょうか。分りにくいこれらの控除を理解すれば、節税できる可能性があります。控除の仕組みが分かれば「損をしない働き方」も見えてきますよ。
ワーママは要チェック!配偶者と控除の関係
控除を利用すれば納める税金を減額できる
収入に対しての必要な出費として、収入から差し引ける金額のことを「控除」といいます。代表的なものでは、サラリーマンの方なら誰でも自動的に差し引いてもらえる「給与所得控除」や扶養親族がいる場合の「扶養控除」などがあります。
控除で差し引ける金額が多ければ、それだけ実際に課税の基準となる課税対象額が下がるため、納める税金も減額されることになり節税につながりますよ。
夫婦は税金面で優遇される措置がある
パパの収入がメインで生計を立てているご家庭の場合、ママの年収が103万円以下(課税対象額で38万円以下)の場合なら、パパは配偶者控除として38万円を収入から差し引いて課税対象金額を計算してもらえます。そのため、パパが納める税金が少なくなるというメリットがありますね。
配偶者控除の対象となるママ自身も所得税を納めなくてよいという、さらなる税金面での優遇措置を受けることができますよ。
配偶者控除はパパだけではなくママにとっても、夫婦であることで税金の優遇が受けられる制度になっているのですね。
配偶者特別控除の制定で働きやすさアップ
配偶者控除自体は1961年に始まった制度ですが、その後26年たった1987年に配偶者特別控除という制度が制定されました。こちらの配偶者特別控除は、年収が103万円以上のママでも配偶者控除と同じように、夫婦ならではの控除を受けられるという内容の制度です。
控除の金額はママの年収によって段階的に変わりますが、ママが働いていてもパパは課税対象額を減らせる控除が受けらます。配偶者特別控除が制定されたことによって、今まで以上にママは働きやすくなったといえますね。
配偶者特別控除の改正と注意すべきポイント
ママの年収が150万円以下は控除は最大に
ポイントの一つが、ママの年収の条件が緩められたという点です。ママの年収が103万円以下の場合は配偶者控除が対象となることには変わりありませんが、配偶者特別控除の受けられるママの年収が、141万円未満から201万円以下に変更されました。
年収が103万円以上201万円未満の収入のママと一緒に生計を立てているパパは、ママの年収に応じた控除を受けることが可能になりました。控除額は段階的に減りますが、ママの年収が150万円までなら、最大の38万円の控除が受けられますよ。
パパの年収に応じて控除額は変化する
今までは、パパの年収に関わらず配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができましたが。ですが、税制改正によりパパの年収が1,120万円以上の場合は、配偶者特別控除の金額が段階的に減ることになりました。さらに年収1,220万円を超えると、ママの年収の金額に関係なく、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられなくなりました。
パパの年収に応じて、税制改正によって増税になってしまうご家庭も出てきます。増税になるか減税になるかは、夫婦の収入の組み合わせによって異なり複雑ですので、よくチェックする必要がありますね。
社会保険の条件には注意が必要
パパがサラリーマンの場合、ママはパパが加入している健康保険に扶養家族として加入し、年金についても「3号」として国民年金に加入しています。ですが、ママの年収が106万円を超えると、働く企業によってはママ自身が勤務する企業の社会保険に加入する必要が出てきます。さらに年収が130万円を上回ると、ママはパパの扶養から外れます。フリーランスなどでも、ママ自身で健康保険や国民年金に加入しなければならなくなります。結果的に出費が増えることになりますから、注意が必要ですよ。
多角的にみて税金面で損をしない働き方を
厚生年金は手取りが減るけど将来的にプラス
年金には国民年金と厚生年金の二種類がありますが、同じ加入期間でも厚生年金のほうが将来受け取れる年金額は増えます。さらに職場で加入する健康保険の場合は、一定の条件を満たし仕事を休んだ際には傷病手当金が受け取れる、といったメリットがあります。
パパの扶養家族として加入していると、このような措置はありません。目先では社会保険の費用を支払うことで手取りが減り損をするように見えますが、将来的にはプラスになるというメリットがあることも考える必要がありますね。